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高等学校長協会、国家公安委に普免制度見直し要望、「物流企業への就業機会狭める」

2013年5月23日 (木)

行政・団体全国高等学校長協会はこのほど、国家公安委員会に対し、普通自動車運転免許制度の見直しを要望した。

高校新卒者の雇用環境が年々厳しくなる中、中型免許制度の導入によって、普通免許で車両総重量が5トンを上回る2トントラックを運転できなくなったことから「物流業界などへの就業機会が狭まった」として、貨物教習を5時間程度受講することで、普通免許の要件を現行の「車両総重量5トン未満」から「6.5トン未満」とするよう、制度の見直しを求めたもの。

現在の免許制度では、中型免許の受験資格として「20歳以上で普通免許、大型特殊免許のいずれかの免許を取得後、2年以上経過した者」と定めている。

同協会は、要望書の中で「これまで多くの求人を出していた大手物流企業でもトラックドライバーとしての採用を見送ったり、新卒者を荷役や倉庫業務に配置する動きが見られる」と指摘。

一方、ドライバーとして就職した高卒者が期待した仕事に就けずに離職したり、トラックドライバーとしての就職を敬遠したりする傾向も見られるとした上で、このままの状態が放置されれば「多くの高校生が目的意識を失ったり、中途退学や非行問題など、学校教育にも大きな影響を及ぼしかねない」との懸念を表明した。

ある大手物流企業の採用担当者は「かつては高校新卒者を多く採用していたが、今はドライバーといえば即戦力を採用するという意識になっている。当社でもドライバーの高齢化は深刻な経営課題だが、運転できない高校新卒者をドライバーとして採用することはできない」と説明した。

全国高等学校長協会のこうした動きに対し、「採用する側」の業界団体・全日本トラック協会は「ドライバー不足は既に大きな課題となっており、今後もさらに深刻化する。全国高等学校長協会による要望の動きについても把握している。経済団体でも制度の見直しを求める声が高まっている」と、免許制度見直しの要請が広がっているとの認識を示した。

さらに「立場は違っても、共通の目的を持つ者同士、何らかの形で連携していけたら」と述べ、将来的な連携を模索する可能性を示唆した。