調査・データ通信販売などを展開するスクロール(浜松市中央区)は1日、子会社のスクロールロジスティクスとスクロール360が、通販ショップ「DIY FACTORY」を運営する大都(大阪市生野区)と同社の役員3人、スクロールロジスティクス元社員2人を刑事告訴すると発表した。同社は、子会社の営業秘密の持ち出しや従業員の引き抜きなどによって損害を被ったとしている。これに対し、大都は倫理上問題のある行為があったことを認め謝罪したが、犯罪行為にはあたらないとしている。
スクロールによると、両子会社は大都と物流業務で取引関係があった。業務を担当していた元社員2人は、大都役員らの指示を受け、作業原価や外注費情報などを記載したファイルと、引き抜き候補26人に関するデータをまとめたリストを作成し、営業上の秘密情報を大都側に漏洩した。また、2人は子会社の経営会議資料やクライアントに対する物流サービスの損益情報などの営業秘密情報が記載されたファイルを違法に持ち出した。最大で9000余りのファイルを持ち出した形跡があるという。
さらに、2人は倉庫現場の一部のアルバイトに大都へ転職するよう声を掛け、大都と共謀して16人を引き抜いた。このほか、2人はパレットやコピー機、用紙などを無断で発注し、倉庫内に隠したうえで、退職時に盗み出す計画を立てていたという。
スクロールは「大都は、違法に取得した営業秘密情報を使用して、物流業務や物流代行業務を自社で行うために倉庫の移転計画を立案し、実行した」と主張している。
こうしたことから、両子会社は大都と大都役員、元社員2人を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)で刑事告訴することを決めたほか、元社員を窃盗罪で告訴することも検討している。これとは別に、持ち出された営業秘密の使用差し止め、営業秘密の利用や引き抜きによる損害賠償を請求するための民事訴訟を起こすことも決めた。
これに対し、大都も同日、文書を公表し、ビジネス倫理上問題のある点については謝罪し、元社員を解雇したとしたうえで、「犯罪行為を行った事実はない」と釈明している。
大都によると、元社員は、以前から共同作業のために大都側から提供されたアカウントを使っていたが、子会社を退職した後もアカウント内に子会社の情報を保管していた。大都は「情報は不正競争防止法上の営業秘密ではないと考えている」としたが、ビジネス倫理上問題があることから、元社員を10月30日付で解雇。子会社に謝罪の上、該当する情報を削除するため、協議を申し入れている。
また、アルバイトの引き抜きについては「社内情報持ち出しの件もあり、積極的な勧誘はしないことにした」としたが、16人については、大都への就職を積極的に希望したことから採用を決めたという。
倉庫内から備品を盗み出そうとしたとする件については、事実は把握しておらず、万が一何らかの問題があったとしても関与していないと否定した。
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