財務・人事川崎汽船は5日、2025年3月期の通期業績予想を上方修正した。売上高は当初予想から100億円増の1兆300億円、営業利益が同40億円増の1060億円、経常利益が200億円増の2400億円、最終利益は250億円増の2350億円とそれぞれ引き上げた。
主に製品物流セグメントが改善されことによるもの。自動車船事業は世界経済のリセッションリスクや地政学的リスクによる影響が懸念されるものの、生産・出荷は堅調に推移する見通しとしている。
同日発表の第2四半期決算は、売上高が前年同期比17.9%増の5380億1500万円、経常利益が同2.3倍の1873億2500万円、最終利益が3倍の1832億1800万円と大幅な増収増益だった。
セグメント別には、ドライバルク事業は増収増益。大型船市況は、期初から大西洋地域発東アジア向けの鉄鉱石やボーキサイト輸送需要が堅調に推移するなか、オーストラリアからの鉄鉱石出荷量減少などで一時軟化するも、その後の出荷の回復や極東での荒天等の影響により船腹需給は引き締まり、総じて堅調に推移した。
エネルギー資源セグメントは売上がほぼ横ばいも減益。LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)、FPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献したが、一過性の要因により減益となった。
製品物流セグメント全体では大幅な増収増益となった。自動車船事業では、中東情勢の影響や一部地域での港湾混雑が継続したものの、安定した完成車輸送の需要を背景に、効率的な運航・配船を推進し、海上輸送台数は引き続き堅調に推移した。
同セグメントの物流事業は、国内物流・港湾事業でのコンテナターミナル取扱量、曳船事業の作業数、倉庫事業の取扱量ともに堅調に推移。国際物流事業は、フォワーディング事業での航空輸送需要が半導体関連をはじめとして、緩やかな回復傾向にあるとしている。完成車物流事業は、需要は依然高く、豪州各港での滞船問題も改善し、陸送取扱台数及び保管台数は堅調に推移した。
近海事業では、輸送量は鋼材やウッドペレットでは前年同期を上回ったが、バルク輸送のスラグが減少し、全体では前年同期並み。内航事業では、定期船輸送での農産物や建築部材などの荷動きが好調に推移したものの、フェリー輸送の稼働減や一部航路の減便により輸送量は前年同期比で減少した。不定期船輸送の専用船は安定した稼働により輸送量は前年同期比で増加した。
コンテナ船事業は、北米での堅調な個人消費や北米東岸での労使交渉決裂によるストライキ発生を懸念した船積み時期の前倒し需要、中東情勢の影響により欧州での年末に向けた需要増加が例年よりも早く始まったことから好調な荷動きとなり、短期運賃が上昇。全体的な需給環境は第2四半期の終わりにかけて軟化したが、前年同期比で増収増益となった。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com