ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

大林組、建設現場の物流効率化へ新システム

2013年7月1日 (月)

荷主大林組は1日、建設現場の資機材の搬送作業の省力化や物流を効率化する「自動搬送システム」を開発し、東京都港区で建設中の環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業3街区でシステムを適用したと発表した。

これまでの搬送方式に比べ、搬送作業を2分の1から3分の1程度に省力化できることを確認した。

開発した自動搬送システムは、建設現場で使用する資機材に搬送先を明示したICタグ看板を置くだけで、潜り込み式AGV台車が自動で資機材を積み込み、目的位置に搬送するもので、搬送経路は磁気テープを床に貼り付けるだけで簡易に変更できる。

従来の水平搬送では、作業員がチームを組み、台車を使って資機材の積み込み・移動・荷降ろしを行っていた。自動搬送システムは、これらの作業が自動化され、不要になる。AGV台車はオペレーター1人で操作でき、水平搬送作業を従来の2分の1から3分の1程度に省力化する。

また、移動機構には工場生産ラインで多数使用されている汎用AGVを採用しているため、作業効率が低下せず、十分な安全性も確保。最高速度は毎分30メートルとなっている。

自動搬送システムの構成イメージ

自動搬送システムの構成イメージ

搬送経路は磁気テープを床に貼るだけで簡単に設定できるため、フレキシブルな運用が可能。台車本体のタッチパネルで、ICタグと搬送エリアの関連付けをするだけで、搬送先の設定が行える。設定変更が容易なため、当日の搬入内容によって素早く搬送先のエリアの分け方を変更できる。

同システムは、(1)ICタグ看板による搬送先を指定する荷取り運転(2)搬送先エリア内の資機材の移動・整理を完全自動で行う仕分け・整理運転(3)電動パレットトラックとして磁気テープがない所で運転する手動運転——の3通りの運転が可能で、用途によって、容易に使い分けることができる。

開発した潜り込み式AGV台車は、低床型ジャッキシステムを搭載しており、枕木に置いた資機材をAGV台車から伸びたジャッキシステムがフォークリフトの要領で持ち上げ、その下に台車が潜り込む。

潜り込み式としたことで、重量物の積載時もカウンターウエイトが不要となり、本体重量を350キログラムと軽量化にも成功。上層階でも床の補強なく運用することができる。積載荷重は1トン、けん引時は2トンの資機材まで対応できる。

同社では今後、自動搬送システムを「繰り返し揚重が多い超高層建物の建設現場、水平搬送距離が長くなる商業施設や工場に展開するとともに、エレベーターからの荷取りや狭い通路での小分け作業など機能追加による適用範囲の拡大を検討していく」としている。