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下流の下請けほど価格転嫁が進まず、公取委調査

2024年12月18日 (水)

調査・データ公正取引委員会は16日、企業に対して行った価格転嫁円滑化の取り組みに関する特別調査の結果を公表した。労務費の価格転嫁率は62.4%と前年度の45.1%に比べて大幅に上昇したが、価格転嫁が進んでいるのは元請けや下請け間にとどまり、2次、3次の下請けでは転嫁率も下がっていた。

調査では、全国の事業者11万社に、コスト上昇分の価格転嫁が適切に行われているかなどについて、受注者・発注者の双方の立場での回答を求める調査票を発送。3万1181社から回答があった。

調査結果によると、労務費の上昇を理由とする価格協議を、すべての商品、サービスについて行ったとする発注企業の割合は59.8%で、「一部の商品、サービスで協議」したとする企業を含めると68.0%だった。

受注者の価格転嫁の要請額に対して引き上げられた金額の割合(転嫁率)は、前年度調査の45.1%から62.4%へと17.3ポイント上昇し、原材料価格の69.5%、エネルギーコストの65.9%に近い水準にまで上昇した。

しかし、労務費の転嫁率をサプライチェーンの段階別にみると、販売時の転嫁率は66.5%と前年に比べ18.8ポイント上昇したものの、元請けへの発注段階では、61.2%(同16.2ポイント増)、2次下請けへの発注段階では56.1%(16.8ポイント増)、3次下請けでは49.2%(13.8ポイント)と、段階が下がるほど、転嫁率が低くなっていた。

国は価格転嫁を進めるために昨年11月、「労務費転嫁交渉指針」を公表し、「発注者側からの定期的な協議の実施」などを求めているが、全ての受注者と定期的な協議の場を設けた発注者の割合は23.7%にとどまり、「一部の受注者とのみ定期的な協議の場を設けた、または定期的な協議の場を設けなかった」と回答した発注者が76.3%を占めた。

また、受注者に価格転嫁の状況を尋ねたところ、「すべての商品、サービスで引き上げ」と回答したのは54.2%、「7割から9割が引き上げ」が26.5%だった。業種別にみると、道路貨物運送業は「すべて」が37.9%、「7割から9割」が30.6%。倉庫業は「すべて」が47.9%、「7割から9割」は28.7%との結果だった。

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LOGISTICS TODAY編集部
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