調査・データKADOKAWA(東京都千代田区)は16日、同社が進めている「出版製造流通DXプロジェクト」によってデジタル製造された書籍が累計3000万部を突破したと発表した。2020年から本格的に始まった書籍のデジタル製造は100部からの少部数製造が可能でコストを抑えられる。2024年度の年間生産部数も850万部に達する見込みで、順調に拡大している。
同社は、従来の出版業界の大量生産と見込み出荷によるビジネスモデルを見直し、市場の多様な需要に過不足なく、きめ細やかに対応するため、オンデマンドの製造・出荷体制の構築を目指して、2018年から出版のデジタル化を進める同プロジェクトに取り組んでいる。
同社はプロジェクトのため、デジタル製造施設「BECファクトリー」を同社などが運営する「ところざわサクラタウン」(埼玉県所沢市)に整備。デジタルの印刷機などで書籍を製造している。

▲BECファクトリーのデジタル印刷機(出所:KADOKAWA)
デジタル印刷機は、2000部単位からの製造が一般的なオフセット印刷とは異なり、短納期で100部から製造できる。このため、書店が直接タブレット端末から注文したり、書店の在庫量が一定数を下回った場合に自動的に追加発注したりといった発注・出荷が可能になる。注文から店着までの時間も、これまでの10日程度から72時間以内に短縮された。
また、大量部数が必要になれば、オフセット印刷を印刷会社に発注するなど、双方の特徴を生かした出版方法も可能になる。
これによって、返品率は、業界平均に対して10ポイント近く低い26.8%(2024年3月期)となっており、28年3月期の返品率22.4%を目指している。また、店頭での品切れを最小限にできるほか、読者のニーズがある限り重版製造が可能で絶版が解消される。
同社は「プロジェクトを推進させ、紙書籍事業の効率性向上などに取り組むとともに、過剰製造抑止による資材や森林資源の余分な消費の低減など地球環境にも貢献して、出版業界全体の課題解決に貢献したい」などとしている。
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