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元受刑者の自立を支援、コウエイ物流が人権賞受賞

2025年2月19日 (水)

認証・表彰東海3県を中心に機械部品の運送を担うコウエイ物流(愛知県東郷町)は18日、愛知県弁護士会より「令和6年度人権賞」を受賞した。同社の村上結美社長は近隣の保護司会長からの打診がきっかけとなり、2014年から犯罪により刑に服した人々を雇用する民間の事業主「協力雇用主」になった。これまで45名の元受刑者を雇用し、社会復帰支援に貢献してきた。

(出所:コウエイ物流)

村上社長は考え方もとことん受刑者に寄り添った。社内で前科のある人ない人が混在すると、前科ありの人は周囲に馴染めない。一方、前科のない人は元受刑者に気後れする。双方の間に溝ができてしまう。そのため、同社は現在、前科のある人のみを募集している。同じ境遇の者同士、遠慮なく包み隠さず話し、互いに励まし合える環境作りをしている。「運送業を営む一民間企業が通常の人材採用をしているだけ」という姿勢は変わらない。元受刑者らを色眼鏡で見ずに、雇用し続けている。

また、村上社長は元受刑者を支援している立場から、刑務所、拘置所、少年院及び婦人補導院収容される人に対して面接や指導し、改善更生と社会復帰に向けた援助をする民間ボランティアの「篤志面接委員」向けの講演も精力的に引き受けている。元受刑者らにとて、どのような支援が必要なのかを伝えている。

同社は2つの社員寮を完備し、村上社長が自ら食事を作るなど、家庭的な環境づくりを実戦している。定期的な懇親会や誕生日会を開き、社員同士の親睦や絆が深まるよう心がけている。そうした努力が実を結び、元受刑者の中から同社の管理職へと昇進し、若手社員の育成に携わるまでに成長した人材も出てきている。

さらに23年6月から寄付型自動販売機を設置した。その売上げの一部を犯罪被害者支援に活用している。これにより、社員たちは社会貢献を実感できる機会を得て、更生への意識も高まっている。村上社長は将来的にファミリーホームの設立も視野に入れている。犯罪防止への取り組みも強化する方針だ。

元受刑者の社会復帰の困難さが指摘される中、同社の取り組みは、物流会社が社会変革の担い手となりうること顕在化した。村上社長の「運送業を営む一民間企業が通常の人材採用をしているだけ」というシンプルな姿勢が、実は最も深い人権尊重の精神を体現している。この事例は、企業活動と社会的包摂が決して相反せず、むしろ相乗効果を生み出す可能性を示唆している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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