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物流施設の価格見通しは「横ばい」、一五不動産調

2025年2月20日 (木)

調査・データ一五不動産情報サービス(東京都大田区)は19日、調査レポート「物流施設の不動産市況に関するアンケート調査(2025年1月時点)」を発表した。同調査は不動産にかかわる実務家・専門家から88件の回答を得たもの。

物流施設の不動産価格について半年後の見通しを聞いたところ「横ばい」が61.3%と最多、「上昇」が27.3%、「下落」が11.4%だった。

上昇の理由では「物流施設の建築費が上昇するため」が最多で、「物流施設の賃料水準が上昇するため」が続いた。開発コストは上昇するが賃料への転嫁も順調に進み、不動産価格を押し上げるという意見だった。横ばいの理由では「キャップレート(期待利回り)の見通しに大きな変化がないため」と「賃料水準の見通しに大きな変化がないため」が最多となり、「金利上昇への懸念で、投資家が新たな投資に慎重になるため」と「不動産価格が上昇局面から踊り場に移行するため」が続いた。下落の理由では「今後も大量供給が続き、需給緩和が見込まれるため」が最多、「リーシングに苦戦する物流施設の売却が増えるため」が続き、需給改善の兆しが乏しい環境下で、売却案件の増加が不動産価格の下落圧力に繋がるとの意見が増えている。

物流施設の賃料水準について半年後の見通しを聞くと「横ばい」が55.7%で最多、「上昇」が35.2%、「下落」が9.1%となった。

「上昇」の回答構成比は2023年1月の調査から増加していたが、今回の調査で減少に転じた。また「下落」の回答構成比は前回調査の3.2%から本調査では9.1%に増加した。上昇理由では「建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」が最多で、「物価高が物流施設の賃料にも波及するため」、「冷凍冷蔵倉庫や危険物倉庫など、多様なニーズが新たな需要を牽引するため」が続いた。コストプッシュ型のインフレに加え、多様なニーズの拡大が賃料上昇に繋がるという意見だった。なお、「Eコマース(電子商取引)の堅調な需要が続くため」が減少し、Eコマースへの成長期待がやや薄れている。横ばいの理由では「建築費上昇に伴う賃料上昇圧力と需給緩和による賃料下落圧力が均衡するため」が最多、「新規開発による供給増と物流ニーズの拡大が均衡するため」が続いた。下落の理由では「リーシングに苦戦する物件の値下げをきっかけに賃料相場が値崩れするため」が最多となり、空室が長期化する物件による賃料値下げの動きを警戒する意見が多かった。

また災害時の防災拠点として物流施設が注目されていることを踏まえ、物流施設が災害時に機能するために必要なことについて聞くと 「非常用電源、燃料を含む備蓄物資の充実」が最多、「ハザードマップを踏まえた立地選定」、「耐震性能の向上(免震構造を含む)」が続いた。一方、「避難訓練や見学会などの実施(地域住民とのつながり)」が最も少なかった。同社の見解では、地域に開かれた物流施設は大規模な物流施設ならではの取り組みで、地域コミュニティの防災力向上に寄与する。地域との共生の観点からも重要な施策のひとつと考えられるとした。

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LOGISTICS TODAY編集部
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