調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は5日、昨年1年間で倒産した企業のうち、倒産直前の最新期で債務超過だった企業が71.7%だったとの調査結果を公表した。コロナ支援で窮状をしのいだ企業が、その後の支援終了や縮小で行き詰るケースが増えている。
同社が自社で保有するデータをもとに、倒産した企業と存続企業の経営状態を比較したところ、前期より減収となった企業は、存続企業が44.9%だったのに対し、倒産企業は59.3%で14.4ポイントの差が開いた。
有利子負債が総資本に占める割合は存続企業30.5%に対し、倒産企業は78.4%で50ポイント近い差となり、倒産企業の多くは過剰債務に陥っていたことがわかる。
営業利益に対する支払利息の比率は、倒産企業が296.3%で、利息の支払いが利益の3倍近くに達していた。コロナ禍前の2019年の調査では118.7%で177.6ポイント上昇した。存続企業も29.3%から50.1%へと悪化しているが、大きな差が出た。
これらの結果から、コロナ支援によって負債が膨らんだ企業が、支援の副作用ともいえる返済に苦慮していることがうかがわれる。また、物価高や人件費高騰に収益を圧迫され、財務体質の改善が進まない企業も多い。
日本銀行は昨年7月に政策金利を0.25%程度に引き上げ、さらに今年1月にも0.5%程度への引き上げを決定した。今後、1%への段階的に引き上げられることも予測されている。
こうした状況を踏まえ、同社は「物価高や人件費高騰が高止まし、賃上げも避けられないなか、金利上昇が企業業績の重しになることが危惧される」と指摘。「中小企業の業績改善は容易ではなく、今後は倒産だけでなく、廃業も増加する可能性が高まっている」としている。
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