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DNP、書店主導の流通プラットフォーム構築へ

2025年3月21日 (金)

サービス・商品大日本印刷(DNP、東京都新宿区)は19日、書籍流通の革新的な取り組みとして、書店が本の選定から発注までを一貫して担う新たなシステム「未来の出版流通プラットフォーム」の構築を開始すると発表した。このプラットフォームは、従来の出版流通システムを大きく見直し、書店がより柔軟に在庫管理や販売戦略を展開できる環境の実現を目指している。

5月1日から第1弾サービスとして「DNP復刊支援サービス」を提供する。このサービスは、長年品切れで重版未定の文庫本を対象に、書店からの具体的な要望に基づいて復刊を実現し、要望のあった書店限定で販売する。出版社から提供された詳細な書誌データと販売実績データを基に、書店員が自店の顧客ニーズや地域特性を考慮しながら、復刊したい本を主体的に選定することが可能になる。また、復刊する書籍の部数や販売期間についても、各書店の判断で柔軟に設定できる仕組みを整える。

経済産業省の調査データによると、出版業界は深刻な課題に直面している。DX(デジタルトランスフォーメーション)化の遅れが指摘されるなか、書店での粗利率の低迷や返品率の高止まりなど、構造的な問題が山積しているのが現状だ。特に、書籍の返品率は平均して4割を超える状況が続いている。在庫管理コストの増大や経営資源の非効率な活用を引き起こしている。これらの要因により、全国の書店の経営環境は年々厳しさを増している状況だ。このような業界の課題に対応するため、同社は2024年7月に「出版事業未来創造室」という専門組織を立ち上げ、書店と出版社の新たな協業モデルの構築に向けて、精力的な検討を重ねてきた。

同社は26年度末までに、このプラットフォームの開発と実装を完了させ、全国の書店、出版社に向けて順次サービスを展開していく計画を掲げている。特筆すべき特徴として、最新のプリント・オン・デマンド技術を全面的に採用し、1冊単位からの柔軟な印刷体制を実現。これにより、従来の大量印刷・大量返品という非効率な商習慣からの脱却を目指す。さらに、各書店が独自に企画する販促キャンペーンの展開や、地域特性を考慮した価格設定の自由度を高めることで、書店経営の収益性向上と持続可能性の確保に大きく貢献することが期待されている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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