調査・データインドの市場調査会社アステュート・アナリティカは22日、世界の運賃請求管理・決済(FAP)市場は2023年から32年までの間に4倍以上の成長を遂げ、31億4710万米ドルの規模に達するとの予測を公表した。物流業務の合理化のニーズの高まりが市場を牽引する。
レポートによると、23年の同市場の規模は7億2710万米ドルで、今後32年まで年平均17.68%の成長を続ける。
FAPサービスの事業者は請求管理機能だけでなく、多言語対応やサプライチェーンの最適化、コンサルティングなどのサポートも提供している。また、FAPサービスを通じて収集したデータは、出荷計画の策定などにも役立っている。
FAPサービスの利用者は、国際貨物が56.4%を占め、圧倒的なシェアを占めている。関税や税金、規制など、複雑な国際貿易の実務に対応するため、請求管理・決済システムのニーズは高い。グローバル化が進み、越境EC(電子商取引)の拡大も市場を牽引している。
一方、国内貨物も、企業の30%が国内事業を拡大しているのに合わせて、年平均成長率17.88%という大幅な成長を遂げている。
サービスの内容としては、決済処理が26.9%を占め、シェアが最も高い。効率的な決済処理は、支払の遅延を最大40%削減し、サプライチェーンの効率性を高めるほか、物流企業の50%がベンダーとの関係改善に成功している。現在、世界の取引の45%がデジタル化されており、デジタル決済システムの需要も高まっている。
利用者を業種別にみると、道路貨物輸送が最大の27.2%のシェアを占めている。世界で輸送される貨物の60%は道路輸送であり、ドア・ツー・ドアのサービスへのニーズは高い。また、貨物会社の40%がリアルタイムでの追跡システムに投資している。
また、サービスの提供方法では、クラウドベースのサービスが市場の62.3%を占めており、年平均成長率は18.13%と予想されている。クラウドサービスは柔軟性や拡張性、費用対効果に優れているが、企業の70%はリモートアクセスを導入理由に挙げ、中小企業の50%は拡張性を導入の理由に挙げている。また、今後2年以内にクラウドへの移行を検討している企業の40%が、データセキュリティの向上を主な動機として挙げている。
地域別では北米で大幅な成長が見込まれている。北米の貨物市場は数兆ドル規模で、貨物輸送の7割をトラック輸送が占めている。また、北米は技術革新の面でも主導的な役割を果たし、企業の9割がデジタルサービスなどを活用している。FAPによって貨物支出を5-15%削減できるとの試算もあり、企業にとっては戦略的に不可欠なものとなっている。
高度なFAPサービスは、CO2排出量の算出や削減にも役立ち、脱炭素化の取り組みにも貢献する。大手食品流通業者の中にはFAPを活用して、排出量を15%削減した事例もある。
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