拠点・施設プロロジスは5月28、29日の両日、茨城県古河市の大型マルチテナント型物流施設「プロロジスパーク古河4」で内覧会を開催する。共催企業のロジスティードが開発したリチウムイオンバッテリー(LIB)専用のスチール製耐火性コンテナ「LIB-CON」(リブコン)の実機が初めて公開される点が大きな特徴だ。一般倉庫仕様の古河4でLIBの保管を可能にするこのソリューションは、近隣のHAZMAT(危険物)倉庫群「プロロジスパーク古河7」と組み合わせることで、多様な保管ニーズへの対応力を高めるものとして注目される。
LIB保管、一般倉庫活用に道筋
EV(電気自動車)シフトや再生可能エネルギー導入の拡大を背景に、サプライチェーンにおけるLIBの保管・管理ニーズは高まっている。しかし、ロジスティードの担当者によれば、「市場成長に対し物流インフラの整備が十分とは言えない」という。LIBは消防法上の危険物に該当する場合があり、指定数量を超えると危険物倉庫での保管が必要になるなど、立地やコスト面での制約が大きい。

(出所:ロジスティード)
こうした課題に対応するため、同社は物流企業の視点から、一般倉庫でのLIB保管を可能にする耐火性コンテナ「LIB-CON」を独自開発した。
LIB-CONは、2024年発出の消防庁通知(消防危第303号)[※1]の要件を満たす耐火性能を備えているため、利用する事業者は消防法に適合しつつ、既存の一般倉庫をLIB保管に活用できる。同通知の基準に則れば、コンテナ間の離隔距離規制も緩和されるため[※2]、危険物倉庫の新設・賃借が不要となるだけでなく、スペース効率の向上やコスト削減にも寄与するという。
※2 コンテナ1台当たりのLIBの電解液量の要件は、非水溶性LIB200リットル未満、水溶性LIB400リットル未満
現場目線での作業性・機能性も追求
LIB-CONは、単に法令基準への適合だけでなく、「作業性・機能性・安全性を仕様に盛り込んだ使用者目線のコンテナ」だ。具体的には、LIBの格納・取り出し作業において、一般的なパネル脱着式ではなく正面の観音扉を開閉するだけで済むようにし、作業負荷の軽減と効率化を図った。コンテナの組み立て・折り畳み時には、天面を除くパネルは本体と連結されているため部品の個別管理が不要で、未使用時には折り畳んで段積みすることで保管スペースを圧縮できる。安全性にも配慮し、電解液の漏洩対策が施されているという。
筐体には強度・耐久性に優れるスチール製の角パイプや鋼板を使用し、防錆処理には耐食性の高いオール電気亜鉛メッキを採用することで、長期使用への信頼性を高めた。さらに、格納物に応じたカスタマイズも可能としており、消防危第303号の基準適合は各種試験で確認済みだ。
プロロジス古河4・古河7連携で多様な保管ニーズに対応
内覧会会場となるプロロジスパーク古河4(2023年5月竣工)は、ダブルランプウェイや最大8.6メートルの梁下有効高などを備える、マルチテナント型の大型物流施設だ。圏央道・五霞インターチェンジ(IC)や境古河ICからのアクセスも良く、効率的な物流オペレーションを支える。
今回の内覧会で注目されるLIB-CONは、この古河4のような一般倉庫内で、一定量のLIBを安全かつ効率的に保管することを可能にする。
さらに重要なのは、プロロジスが古河エリアで展開する物流施設群との連携だ。古河4の近隣には、HAZMAT倉庫群であるプロロジスパーク古河7も開発中。LIB-CONを活用することで、古河4で比較的小ロットのLIBや頻繁な入出庫が必要なLIBを保管しつつ、より厳格な管理が求められる大量のLIBや、ほかの危険物については近隣の古河7を利用する、といった複合的な保管戦略が可能になる。

▲「プロロジスパーク古河7」の完成イメージ(右手前 黄色枠線内の10棟)
これにより、テナント企業は、一般貨物からLIB、そのほかの危険物まで、多様な商材の保管ニーズに対し、プロロジスの古河エリア内でワンストップかつ柔軟な対応が期待できるというわけだ。
ロジスティードによると、プロロジスパーク古河でのLIB-CON活用については所轄消防署への事前説明・見解ヒアリングを実施済みであり、「比較的スムーズに運用が開始できる」という。これは、「危険物倉庫が見つからない」「すぐにLIBを保管したい」という企業や、一般貨物とLIB双方の保管拠点を効率的に運用したいと考える企業にとって、大きな利点となりそうだ。
内覧会では、実際の施設環境下でLIB-CONの実機に触れ、その構造や操作性を確認できる。
「使用者目線で開発」、ロジスティード鈴木氏

▲ロジスティード鈴木健吾氏
開発を担当したロジスティードエンジニアリング開発本部ロジスティクステクノロジー部の鈴木健吾氏は、「LIB-CONは物流企業であるロジスティードが使用者目線で独自に開発した作業性・機能性・安全性・信頼性を備えたコンテナ。是非会場で特徴と活用メリットを確かめてほしい」とコメントしている。
内覧会は事前申込制で、参加費は無料。
各日(1)11時〜(2)14時〜 ※90分程度を予定
場所:プロロジスパーク古河4(茨城県古河市北利根15)
内容:プロロジスパーク古河4の施設内覧、ロジスティード開発 耐火性コンテナ「LIB-CON」実物展示・説明
対象:物流事業者、荷主企業、その他物流施設に関心のある企業
参加:無料
申し込み:https://prologis.form.kintoneapp.com/public/event11
申込締切:2025年5月23日(金)17時
問い合わせ:プロロジス開発部 佐藤氏・石澤氏(TEL:0120-936-380)
<プロロジスからのご案内>
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