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日本郵便の運送許可取消に、物流各社「今は注視」

2025年6月5日 (木)

ロジスティクス日本郵便の貨物運送許可が取り消しになるとの報道を受け、関連するさまざまな事業者からその影響の大きさについて懸念する声が聞こえてくる。現状は、日本郵便からの公式発表がないこともあり、取材に対しても「状況を見守る」とのコメントにとどまる事業者は多い。

ファッションレンタル事業を展開するエアークローゼットの取締役副社長、前川祐介氏は、「利用者のUX(ユーザーエクスペリエンス)、利便性向上の観点や、2024問題への対応を見越したリスクヘッジとして、長らく複数の運送会社とアラインする体制を整えている」と語る。マルチキャリア対応でリスク分散していることから、当座、事業を止めざるを得ない状況にはないとの見解を示した。ただ、業界全体では運用を見直さざるを得ない事業者も多いと見られ、物流業界全般への波及は免れないとして、「今後の影響は未知数。世情を見ながら中期的な対応を検討したい」と補足する。3PL事業の1社も、キャリアの分散などは既定の戦略だったこともあり、直接被る影響については致命的ではないとしながらも、車両の確保など今後問題が顕在化することへは細心の注意を払う予定だという。

また、「ゆうゆうメルカリ便」など日本郵便と連携したサービスを展開するメルカリは、「日本郵便と提携した一部配送手段に関して、現時点でサービス停止などは発生していない」とコメント。「今後の状況次第で変更の可能性もあるため注視している」と、やはり動向を見極めている状況のようだ。

さらに、日本郵便は、日本全国の自治体と包括連携協定を締結するなど、地域活性化の活動にも取り組んできたことから、今後こうした事業への影響も懸念される。取材した自治体からは、事業者同様に正式な発表を待つ状況であり、「今後も協定に基づく活動を継続していくことに変更はない」と回答が得られた。

包括連携協定は、日本全国の配送体制を支える日本郵便の人材、車両などが基盤となっており、地方の軽貨物配送車両停止などに事態が拡大すれば、これまで実績が報告されてきた「地域見守り活動」や「道路損傷情報の提供」、配送車両を利用した自治体広報などの活動にも影響する。地域経済活性化の役割を果たしてきただけに、担当者によっては困惑した様子もうかがえる。「包括連携協定はあくまでも、両者の業務に支障がない範囲というのが前提のため、これによって地域が大きなダメージを受けるといった性格のものではない」とする意見がある一方、「地域住民への著しい環境変化や不利益となる事態にならないような注視は必要」との警戒感を示す自治体もあった。

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LOGISTICS TODAY編集部
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