行政・団体国土交通省はこのほど、2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会を開催したと発表した。同省は21年に始動した「総合物流施策大綱(2021年度-2025年度)」を25年度で終期とし、次期大綱策定に着手する。ことし3月には、政府の「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」で総理が策定作業を早急に開始すると指示しているため、検討会をその具体的な対応として設置した。
10日に開いた第3回の検討会では総合物流施策大綱に基づく進ちょく状況と今後の方針を発表した。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)と物流標準化の推進により、サプライチェーン全体を最適化する施策を展開するなか、現状、トラック・内航海運・倉庫事業者のうち、自動化・機械化やデジタル化に取り組む割合は47%、DX化を実現している事業者は41%にとどまった。荷主と連携しながら同じ取り組みを進める事業者は23%にとどまった。
これらの現状に対し、同省は物流業務の自動化と機械化の効果や、デジタル化の意義が事業者や荷主に十分浸透していない点に課題があると認識を示した。これに対し、自動化やデジタル化機器・システム導入を推進し、成功事例や効果に関する積極的な広報を進める方針を挙げた。特に、荷主と事業者が連携する自動化・機械化の支援や、現場の意識変革を目的とした事例共有など周知活動に取り組むとした。
さらに検討会では各構成員がプレゼンテーション。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は「24年度の自動車貨物輸送はどうなったのか」と題し、マクロ的推計結果から導出する今後の物流施策のあり方を紹介。敬愛大学の根本敏則氏は、自動運転トラックを巡る制度・技術課題について米中先行L4運行事例、日本での実装課題を挙げた。いすゞ自動車は、物流領域の社会課題解決に向けた商用車開発の最新動向を説明した。さらに、ヤマト運輸は、持続可能な物流確立に向けた複合施策を披露。ローランド・ベルガーは、物流の装置産業化・輸出産業化構想を展開した。花王はサプライチェーン最適化と業界商慣行改革を提言。アスクルは、EC物流の自動化・DX推進によるサステナブル物流を説明した。
今後も同検討会は定期的に開催する方針で、25年度内に新たな「総合物流施策大綱」の骨子を固める予定だ。政府は多様なプレーヤーの意見を集約し、デジタル化やグリーン化の推進、災害対応力の強化にも視野を広げて議論を進める。検討会でまとめた提言をもとに、国交省は30年度を見据えた新たな物流施策の策定作業を本格化する。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。