ロジスティクス長距離運送会社同士をマッチングし、運送会社の敷地を拠点とした中継輸送を支援する「ドラ基地」を運営するスペース(愛知県蒲郡市)は22日、メーカーと農作物の産地をつなぐ新たな配送スキームを構築したと発表した。

▲従来、一方通行で運ぶモデルが一般的だが、空車による「空車回送」が慢性化する(クリックで拡大、出所:スペース)
同社は農作物産地とメーカー双方にメリットをもたらす「循環型」の輸送ルートを構築。従来は分離されていた原材料の配送と加工品の輸送を、独自のルートにより一体化した。中距離での調達と柔軟な納品を組み合わせることで、近隣産地に限定されることなく、遠隔地からも安定的かつ低コストでの仕入れが可能となった。
具体的には、愛知県田原市の契約栽培青果を産地として、自社で愛知県一宮市の積み替え拠点まで配送し、そこからは北陸エリアへの戻り便を活用して納品する仕組み。産地から中継拠点までは同社が配送を担い、中継拠点から納品先へは、通常空車となるトラックの戻り便を計画的に活用する。単なるルート短縮にとどまらず、輸送全体の構造を改革した点が特徴だ。
同社は「どこから運ぶか」ではなく、「どう運べば希望する産地の原料をコストを抑えて届けられるか」という発想への転換を図った。これにより、小規模農家や遠隔地の産地との取引も支援可能となり、ルート設計の工夫により、近隣産地よりも低価格での調達も実現している。ルート最適化に加え、契約栽培や選別・包装体制にも柔軟に対応でき、仕入れから輸送までを一貫してコントロールし、安定供給の仕組みを構築した。
さらに同社は、単なる輸送提供にとどまらず、進化型サプライチェーンパートナーとして、「どの産地を選び、どう運ぶか」といった調達設計から関与。配送にとどまらず、供給全体の課題解決に向けた業務設計にも踏み込み、煩雑な調整を発生させない体制を構築している。戻り便の活用により、過去の事例では輸送コストを7%削減した実績もある。現場ごとの最適化にも柔軟に対応しており、こうした調達スキームはすでに「加工工場」「青果センター」「外食チェーン」「業務用青果卸商社」など各事業者向けに展開を始めている。
この仕組みは、物流の効率化にとどまらず、遠隔地産地との直接取引の拡大、取引機会の増加、安定供給、地域間物流の最適化といった広範な効果をもたらす。従来型のスキームでは、物流の固定化により調達コストや供給リスクが高かったが、今回のスキームは安定調達と価格競争力の両立を図るモデルとなっている。
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