調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は30日、全国の労働局が6月末までに公表した「雇用調整助成金」などの不正受給件数が、2020年4月からの累計で1764件に達したとのレポートを公表した。不正受給総額は571億82万円にのぼったが、今年上半期(1-6月)の公表件数は219件、月平均36.5件で、前年同期の345件、月平均57.5件を下回った。
同助成金はコロナ禍で経営難に陥った企業を迅速に支援するため、特例措置として手続きを簡素化した。不正に受給していた企業については、助成金の全額返還を求めるほか、悪質な場合は企業名を公表する。中には悪質性が極めて高いとして、関係者が逮捕されたケースもある。同社では各都道府県の労働局が企業名を公表した不正件数を集計、分析している。
同社によると、20年4月から今年6月までの5年間で、企業名が公表された不正件数1764件のうち、雇用調整助成金だけの受給は1026件で全体の58.1%を占めた。パートタイマーなど雇用保険被保険者ではない従業員の休業に支給される「緊急雇用安定助成金」のみの不正は236件(同13.3%)、両方の不正受給は502件(同28.4%)だった。
20年以来の累計件数を都道府県別でみると、愛知県の284件が最も多く、次いで東京都の215件、大阪府175件、神奈川県140件と大都市圏が上位を占めている。
業種別では、飲食業が最も多く190社で、建設業179社、人材派遣や業務請負などの他のサービス業が131社で続いている。運輸業は100社だった。
不正受給が公表された企業のうち、倒産した企業は6月までに105件に達した。公表された企業の5.95%で、2月から0.15ポイント上昇した。同社が集計した24年度の企業全体の倒産発生率は0.28%で、不正受給が公表された企業の倒産発生率が非常に高いことがわかる。
厚生労働省によると、各都道府県労働局の調査で発覚した不正受給は非公表企業を含めて、今年3月末で4100件、支給の取消金額は978億6000万円だった。
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