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戸田建設、洋上風車の一括搭載実証に成功

2025年9月1日 (月)

荷主国が洋上風力発電の促進区域に指定している長崎県五島市沖で、発電施設の建設を進めている戸田建設は8月29日、組み立てた風車をクレーンで吊り上げて、そのまま浮体に設置する「風車一括搭載」の実用化に向けて、3分の1の大きさの風車を使った実証試験に成功したと発表した。これまでは、風車の部材を海上に運び、設置現場で組み立てていたが、一括搭載が可能になれば、建設費用の削減が期待できる。

洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源として期待されており、国は風力発電に適した国内10か所の海域を「促進区域」に指定して、事業を推進している。さらに有望区域や準備区域も指定し、区域の拡大を目指している。

▲1/3スケールモデル公開実証試験の様子(出所:戸田建設)

同社が開発を進めている一括搭載技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」に採択され、実用化を進めている。実際に建設する大型風車(15メガワット級)は直径240メートルだが、同社はこれまで水槽を使った試験で100分の1の大きさの風車の一括搭載に成功している。

今回の実証試験は、洋上での初めての作業で、直径80メートルの2メガワット級風車を使って行われた。

同月25日、同市椛島沖で行われた実証試験は、関係機関や報道機関にも公開して行われた。事前に組み立てた完成形の風車を、大型起重機船(3700トン吊級)で立ったままの状態で吊り上げて、土台となる浮体にまで運び、そのまま浮体に下ろして設置した。タワー下端の接続部材を吊り上げて転倒防止枠でタワーを把持し、2本のクレーンジブの間にタワーを通した状態で吊るため、風車の大きさに関わらず、起重機船の吊り能力を最大限に活用して運搬と設置ができる。

この日の実証実験では、予定通り風車を設置でき、開発中のソフトを使って精度のよいシミュレーションが可能なことも確認した。

同社では今後、15メガワット級風車の実証施工に向けて、さらなる技術の改良を進めるとともに、シミュレーションソフトの精度向上を図る。最終的には15メガワットを超える風車にも対応可能な一括搭載技術をシミュレーションソフトとともに確立し、浮体式洋上風力発電の大型化、量産化を目指すとしている。

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