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「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」レポート

物流拠点の姿は変わる、AI×再エネで描く未来

2025年9月11日 (木)

イベント野村不動産は、10日から12日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている「国際総合物流展2025 第4回 INNOVATION EXPO」にて、2日目の11日に「2035年 野村不動産が見据える物流の未来」をテーマにセミナーを実施した。会場の定員100席は早々に埋まり、さらに立ち見が出る盛況ぶりで、来場者の関心の高さがうかがえた。

登壇したのは、野村不動産の宮地伸史郎氏(都市開発第二事業本部物流事業部副部長)、シグマクシスの池田祐一郎氏(ビジネスデベロップメントシェルパ2ディレクター)、東京海上スマートモビリティ取締役の大野有生氏(兼東京海上ディーアールCDO)の3人。宮地氏は、野村不動産が2006年から累計46棟、延べ80万坪に迫る規模の物流施設を展開し、「Landport(ランドポート)横浜杉田」では立体自動倉庫を既設したマルチテナント倉庫、東海北部では7万坪級のサプライチェーン統合拠点を開発するなど、次代を見据えた取り組みを紹介。そのうえで、少子高齢化やAI(人工知能)の進展を背景に、倉庫は単なる保管場所から「データと電力を備えたインフラ」へと進化し、ロボティクスと再生可能エネルギーを組み合わせた持続可能な拠点形成が求められると語った。

池田氏は、1989年の物流二法の整理と2024年の法改正を踏まえ、物流は「規制緩和による拡大」から「荷主主導の改革」へと大きな転換点を迎えていると指摘。従来の3PLに加え、今後はサプライチェーン全体を設計・統合する“第4のプレーヤー”が不可欠となり、その担い手としてCLO(物流統括管理者)の役割が一層重みを増すと展望した。

さらに大野氏は、物流を変える3つのドライバーとして「荷主主導の改革」「AIの進化」「人口減少」を挙げた。生成AIは単なるアイデア出しの道具ではなく、数百万通りのシミュレーションから最適解を導く力を持ち、出荷データの解析や棚配置の自律最適化といった現場運用にすでに組み込まれつつあると強調。将来の物流施設は、AIの膨大な処理を支えるデータセンターや発電設備を併設した“複合型インフラ”としての姿を強めていくだろうと語った。

3者がそれぞれの専門領域から示した視点に通じていたのは、2035年の物流が単なる倉庫開発や輸送効率化にとどまらず、エネルギー・データ・農業といった領域を巻き込み、社会全体の最適化を実現する基盤になるという見立てである。野村不動産は、その調整役として多様なプレーヤーを束ねるコーディネーターの役割を担い、次の10年で物流の未来像を具現化していく構えだ。

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