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チルド食品の賞味期限1.5倍で廃棄額235億円削減

2025年10月24日 (金)

調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は24日、チルド食品の賞味期限を従来の1.5倍に延ばした場合、廃棄損失額を235億円削減できるとの調査結果を公表した。このほかにも、製造ラインの稼働効率の向上や、物流での在庫管理や配送の柔軟性の向上といった効果が期待できるとしている。

同社では、国内の加工食品市場で、賞味期限延長がサプライチェーンにどのような変化をもたらすのかを明らかにするため、チルド食品の期限延長や年月表示への切り替えによる効果などを調査した。

同社によると、国内加工食品市場規模31兆1416億円(2023年度見込み)を基に、23年度のチルド食品市場規模を2兆9811億円と推計。賞味期限が10日から60日のチルド食品の現状の廃棄率を賞味期限10日から60日までの51日間別に算出したうえで、各日数分の廃棄率をチルド食品全体の市場規模に掛けて平均し、廃棄損失額を509億円と算出した。

次に、チルド食品の賞味期限を1.5倍に延長した場合の廃棄率を51日間別に算出し、同様に廃棄損失額を274億円と算出した。これによって、廃棄損失額は235億円削減できるとした。

同社は、賞味期限を延長することで、食品メーカーでは製造ロット(1回当たりの製造量)の大型化で製造ラインの稼働効率を向上させられるため、労務費やエネルギー使用量の削減につながると指摘。さらに、物流や卸業者でも、返品による廃棄リスクが縮小し、在庫管理や配送の柔軟性が向上するとした。

また、小売業者でも店頭での見切り販売や値引き販売が減少することで、作業工数や人件費が抑制されると同時に、廃棄によるコストを削減できる。

社会全体を考えても、フードロスの削減や資源使用量の削減、環境負荷の低減といった社会的価値の創出につながり、ESGへの取り組み姿勢を明確にする企業にとっては、中長期的なブランド価値の向上にも寄与する重要な施策となりうるとした。

同社は「賞味期限の延長は単なる日付の調整にとどまらず、食品サプライチェーン全体の効率性と持続可能性を高める鍵となる。すべての工程に余裕と合理性が生まれることで、無駄が減り、経営効率と環境性能の両方が改善される」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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