サービス・商品矢野経済研究所(東京都中野区)は11日、サービスロボット世界市場に関するレポートを公表し、2024年のメーカー出荷台数は家庭用と業務用合わせて2070万7100台に達したと推計した。今後も性能と利便性の向上で増加を続け、30年の世界出荷台数は3026万台になると予測している。
家庭用サービスロボットには、清掃ロボットのほか、会話や触れ合いなどの交流を図るコミュニケーションロボット、人間の形状や動作を模倣するように設計されたヒューマノイドロボットがあり、家庭での生活の支援を目的にしている。
一方、業務用サービスロボットは、商業施設や医療・福祉、物流、農業、建設などの現場で、清掃や配送、接客、警備、介護、エンターテインメントといった多様な用途で活用されている。
レポートによると、サービス業の人手不足や賃金の上昇のほか、生成AI(人工知能)の進化によるロボット性能の向上、導入拡大による費用対効果などが要因で、世界的にサービスロボットの普及が進んだ。
日本でも、費用対効果の高い用途・分野によってはサービスロボットの導入が進んでおり、例えば、配膳・下げ膳ロボットでは導入条件によっての違いはあるものの、ロボット1台を導入すると、従業員を1人雇用する場合に比べ月額30万円以上のコストを削減できる。
一方で、ラストワンマイル配送などの配送ロボットや、セキュリティー・警備ロボット、調理関連ロボットなどは、実証実験が行われても本格導入が進んでいない。その要因は、生産性や省人化といった費用対効果が、導入後すぐに見込めないことだと指摘している。
しかし、米国市場や中国市場などでは、費用対効果が見込めなくても、継続使用率や改善寄与率に着目し、日本に比べて導入が進んでいるケースもある。こうした分野では、ロボットの活用を通じて得られた情報が、将来の量産化や本格導入を見据えた研究開発に活用されている。
サービスロボットは、コロナ禍の感染対策として導入され、その後もサービス人材の労働回帰が遅れたことから、世界各国においてさまざまな用途で導入が続いている。サービスロボットの普及は人々に受け入れられており、堅調に導入は増加する見通しとなっている。
また、生成AIの進化で、画像認識性能や聞き取り精度、推論性能の向上が図られ、人と自然な会話もできるようになってきた。さらに、同時に複数台のサービスロボットを活用する際も、AIを使ったソフトで稼働効率の向上が可能になった。
同社は「性能の向上は今後も中長期的に継続され、時間の経過とともに消費者やユーザー企業側の利便性もさらに高まっていく」としている。
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