イベント9月10日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」も、12日に最終日を迎えた。倉庫管理システム(WMS)大手のシーネット(千葉市美浜区)のブースでは、同社の主力製品であるクラウド型WMS「ci.Himalayas」(シーアイヒマラヤ)シリーズと、物流KPI分析アプリケーション「ci.Himalayas/compass」に生成AI(人工知能)を搭載した新モデルが参考出展され、来場者の高い関心を集めた。「WMSが蓄積した膨大なデータを、どう現場改善につなげるか」。多くの物流現場が抱えるこの永遠の課題に対し、同社は「AIとの対話」という新たな解決策を提示している。
同社ブースでデモンストレーションされていたのは、WMSの実績データを基に、生成AIが分析結果や改善提案を自然言語で返してくれるというものだ。例えば、ピッキングの実績データから「タッチ数の多いロケーションはここです」といった具体的な分析結果を即座に提示してくれる。

▲シーネットの佐々木孝洋執行役員(開発管掌)
「WMSには日々膨大なデータが蓄積されますが、そこから何を見ればいいのか分からない、という声は非常に多い。AIがその“データの見方”を指南してくれるのです」。同社の佐々木孝洋執行役員(開発管掌)は、新モデルの狙いをこう語る。従来のBIツールのようにグラフを眺めるだけでなく、「何が問題なのか」「どこに注目すべきか」をAIが示唆してくれるため、専門的な知識がなくとも、データに基づいた迅速な判断と現場改善が可能になるという。
このAIモデルの開発背景には、「WMSの基本機能がこの20-30年、大きく変わっていない」という課題意識があったと佐々木氏は明かす。WMSを進化させ、顧客に新たな価値を提供する方法を模索するなかで、生成AIという新しい技術との融合に行き着いた。
今回の参考出展では、製品化に向けた顧客からのフィードバックが数多く寄せられた。3日間で「こういう観点で見たい」「こんな質問はできないか」といった具体的なヒントが寄せられたという。シーネットは、これらの声を反映し、製品の完成度を高めていく方針。現場のセンター長が日々の疑問を相談する相手として、あるいは経営層が戦略を練るための分析ツールとして。WMSに搭載されたAIが、物流現場の強力な“頭脳”となる日は、そう遠くないかもしれない。
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