調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は17日、国内の2024年度のラストワンマイル物流市場は24年度に前年度比5.5%増の3兆900億円に達したとするレポートを公表した。取り扱い個数の増加や物流費の高騰で市場は拡大傾向で、25年度の市場規模は3.4%増の3兆1950億円と予測。30年度には3兆9800億円規模にまで拡大するとしている。
レポートによると、通信販売業者を中心に物量が増加傾向にあり、配送する荷物自体の小口化が進んだことで個数も増加した。深刻な人手不足や燃料費の高騰を背景に業界全体として価格交渉が進み、契約運賃は緩やかな上昇傾向にある。
大手宅配便業者では、23年度の運賃改定で取り扱い個数が減少したことから、24年度は法人向け契約単価を引き下げて物量を確保する動きが広がり、取り扱い個数は再び増加に転じた。
通信販売や小売、フードデリバリーなど、宅配便以外のBtoC個配事業者も増えているのが最近の特徴で、BtoC個配は、荷主自身による「自社配送」と荷主が直接配送手配を行う「自社手配による配送」の2つに分けられる。24年度の同市場のシェア(金額ベース)をみると、宅配便が7割、BtoC個配が3割を占め、特に置き配を前提とした配送が増えていることから、通信販売業者の間で地域の運送業者や貨物軽自動車運送業者に直接荷物を委託する「自社手配による配送」にシフトする動きがみられる。
今後も同市場は、中国や韓国など海外のECサイトで商品を購入して日本に輸入する輸入越境EC(電子商取引)や、ふるさと納税の返礼品の配送など、新たなニーズを取り込むことで荷物量の拡大が見込まれるほか、さらなる荷物の小口化で取り扱い個数も増加していくとしている。
また、課題として、BtoC個配を手がける事業者に対するルール作りを挙げ、「配送品質やドライバーに対する補償など、基準となる何らかのルール作りが必要になる」としている。
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