産業・一般水産物総合卸売商社のクラハシ(広島県福山市)は17日、システム開発のOMIT(同)、山陽石油(同)と連携し、水産業界でのAI(人工知能)活用と業務効率化を進めるため、定型業務の自動化や事業全体の効率化などに取り組むと発表した。
クラハシは水産物卸売を中心に、加工・販売・外食まで幅広く事業を展開しており、プレミアムブランド「贅沢至高」を開発し、高品質な魚食文化の発信にも取り組んでいる。今回、水産業の持つ「社会的基盤としての役割」を未来に引き継いでいこうと、AI技術の導入で業務の効率化にとどまらないDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、地域経済と食文化の持続的発展に貢献しようと考えた。
削減したコストは、社員への還元や新規事業への投資に振り向ける方針で、AIを「人を守るための支援ツール」として積極的に活用していくという。
また、OMITは伴走型DX支援サービス「AIセンパイ」を開発し、さまざまな現場で教育負担軽減や属人化の解消に貢献している。今回はAI技術を提供し、伴走型のDX支援を行う。山陽石油は燃料供給事業に加え、地域情報サービス「まいぷれ福山市」を運営しており、地域に根ざしたネットワークを通じて、情報発信を行っていく。
連携に基づき、クラハシは定型業務のもととなるデータのインプットを進め、企業や個人の特性をAIに学習させることで、営業や総務をはじめとしたさまざまな業務について、担当者が指示するだけでAIが代行できる環境を構築する。
これによって、請求書作成や受発注処理、議事録や報告書の草案作成などの定型業務の負担を軽減し、社員がより付加価値の高い活動に専念できるようにする。さらに、OMITや山陽石油と連携して、セキュリティーを担保したAIサーバー環境の構築を進め、段階的に導入範囲を拡大。主要な取引メーカーからのヒアリングも行い、互いに事務処理を軽減できるようDXを推進していく。
スケジュールとしては、1年以内に定型業務をAIやRPAで自動化するとともに、EC(電子商取引)や広報、デザインの業務で生成AIを活用し、20-30%のコスト削減を実現する。
さらに、2年以内に顧客分析や需要予測、提案資料の自動作成などが可能な営業支援AIを導入し、配送計画や仕入れ販売データの統合管理も進めるほか、管理部門業務の効率化を図り、40%の業務効率化を目指す。
こうした改革を進めたうえで、長期的には、市場連携を含む水産取引全体の再設計や異業種との協業による地域経済全体の効率化を進める。同社としては、最終的に50%の効率化を達成し、「人材と企業の両輪を守る」仕組みを確立するとしている。
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