荷主エア・ウォーターと戸田工業(広島市南区)は19日、北海道豊富町の豊富温泉で建設を進めていた天然ガスを利用したDMR(メタン直接改質)法による国内初の水素製造プラントが完成したと発表した。水素を発生させる際、CO2を発生させず、発生する炭素は高導電性を有する多層カーボンナノチューブ(CNT)としての活用を図る。
同プラントは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けて建設された。

▲水素製造プラント外観(出所:エア・ウォーター)
エア・ウォーターと戸田工業は、2021年から天然ガスやバイオガスなどの主成分のメタン原料から高活性鉄系触媒を使ってCO2を発生させずに、水素を製造する技術やシステム開発に取り組んできた。また、豊富町では温泉からメタン含有率が95%の良質な天然ガスが産出されているが、あまり利用されておらず、有効活用による産業の活性化が町の課題だった。

▲竣工式の様子(出所:エア・ウォーター)
水素製造プラントでは実用化に向けた実証実験が行われ、温泉の天然ガスを使って高純度水素を製造し、近隣の企業などに供給して品質などを検証する。また、CNTも事業化を目指し、用途の探索と性能の評価を進め、「地域CO2フリー水素サプライチェーンの構築」に取り組むとしている。
プラントでは、天然ガスから取り出した原料用メタンガスを鉄系触媒と600度から750度で反応させ、水素と炭素を発生させる。1時間当たり40立方メートルの水素と年間100トンのCNTを製造する能力がある。今月18日には、同プラントで竣工式が行われ、両社や町の関係者らが完成を祝った。
両社では今後、2026年3月までにDMR法による水素製造システムを確立し、水素製造コストを日本政府が目標としている1立方メートルあたり30円以下に抑えることを目指す。さらに品質の安定で本格的な事業化を図るとしている。
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