調査・データ米市場調査会社のパノラマデータインサイトは29日、世界のコネクテッドトラック市場が2022年から32年までの10年間で年平均16.1%成長し、22年の257億ドルから984億ドルまで4倍近く拡大するとの予測を公表した。日本でも急速な導入が見込まれる。
次世代の車として、インターネットに常に接続できる機能を搭載したコネクテッドカーが注目されており、トラック分野でも、AI(人工知能)によるルートの最適化や、車両稼働率の自動分析、メンテナンス予知などの機能が、ドライバー不足に対応した効率的な輸送網の構築に貢献すると期待されている。
日本でも、国内大手物流企業や製造業者がコネクテッド技術に対応したトラックを導入しており、日野自動車や、いすゞ自動車、UDトラックスなどが、クラウド連携型の商用車両管理システムを充実させている。これによって、配車計画の精度向上や燃料コストの削減、安全運転の促進といった効果が出ている。
さらに、最新のコネクテッドシステムでは、単なるGPSやOBD(車両診断装置)によるデータ取得だけでなく、テレマティクスとエッジコンピューティングの融合で現場での即時判断も可能になっており、走行中の異常をリアルタイムで分析し、事故や故障を未然に防ぐ「予防型モビリティメンテナンス」などの技術が急速に普及している。特に日本のように安全基準が高く、道路インフラが高度に整備された環境では、こうした高機能を効果的に活用できる。さらに、地域別の渋滞データや天候情報をもとにしたAI配車も導入が進んでいる。
また、一部の先進物流企業では、コネクテッドトラックのデータをCO2排出量の見える化や削減計画に活用しており、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点からも、コネクテッド技術は持続可能な物流モデルの中核を担うと期待されている。
世界市場では、ダイムラーやボルボ、スカニアといった欧州企業が先行しているが、日本国内ではスタートアップ企業の台頭が目立つ。テレマティクスベンチャーや、クラウド車両管理サービスを提供するIT企業が、大手物流企業との実証や共同開発に取り組んでいる。
同社は「日本のコネクテッドトラック市場は単なるハードウエアビジネスから、ソフトウエア、データ解析、サービス提供といった多層的なバリューチェーンへと移行しつつある」と指摘している。
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