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冷凍寿司元年、供給網確立へ業界横断で連携検証

2025年12月22日 (月)

フードデイブレイク(東京都品川区)は17日、「冷凍寿司の流通拡大に向けたソリューション検討会」を開催した。同社は独自の特殊冷凍技術による「冷凍寿司」を開発し、ことし米国内の日系スーパーマーケットで販売を開始するなど展開を本格化させたことから、この2025年を「冷凍寿司元年」と謳う。

同社では冷凍寿司の普及拡大を、食品業界の人手・職人不足の解決や、時間や距離の制約に起因する物流課題解決の貢献にもつながるものと位置付ける。寿司の味、風味、食感などを損なわずに冷凍することで、米国へと販路を拡大したことはその実例であり、握りたての寿司と変わらないとの評価も得ている現地の受け入れ状況を報告した。

拡大する冷凍食マーケット、さらに国の施策としての「フードテック」は国家戦略分野の1つに指定され、コメ加工製品、日本食の輸出拡大を代表する商材としての冷凍寿司にも注目が集まる状況だ。

その一方で、冷凍寿司のサプライチェーン全体で見ると標準化されたオペレーションが確立されていないのが現状として、製造や保管・輸送、解凍の領域でも、冷凍寿司に対応する製造・提供モデルを提示することが必要と訴える。

今回の検討会では、同社による凍結工程だけではなく、その前後段階の「シャリ製造」や「解凍」など各工程ごとの技術を集めて再現。実際の冷凍寿司の製造から提供課程までを実演・公開し、マーケット拡大に向けた課題などを評価してもらう機会とした。

検討会に参加したのはデイブレイクに加えて、寿司酢開発のMizkan(愛知県半田市)、シャリ玉製造の鈴茂器工、冷凍用容器のエフピコ、解凍(少量)のパナソニック、解凍(大量)のラショナル・ジャパン(東京都千代田区)の計6社。それぞれ冷凍機「アートロックフリーザー」による凍結、冷凍・解凍に特化した寿司酢、シャリ玉の自動製造ロボット、輸送時の破損を防ぐ冷凍寿司に特化した耐寒トレー、冷凍小売店舗などの少量解凍に適した解凍機や、ホテル、イベントなどの大量提供に対応するスチームコンベクションによる解凍まで一連の工程をデモ実演し、運用課題や改善点などが検証された。

解凍された冷凍寿司を提供して試食してもらうまで、実際のオペレーションを再現し、参加者には味などについての感想を求めた。握りたて同様などの評価を得る一方、冷凍寿司のトレーからの移し替えなど運用現場の課題なども指摘され、より提供しやすい容器運用やそれに適したシャリ玉形状の検証など、具体的な改善点などのアイデアが提言され、引き続き、多様な運用場面ごとの最適な解凍技術の検証なども継続するという。

また今回、ゲスト評価者として小売業界からはダイエー、マルエツが参加し、実際の販売現場を想定しての意見も共有された。多様な寿司ネタごとの検証の必要性、人手不足や原材料費高騰の解決にどうつなげていくかなど、引き続き課題となる。同じくゲストとして参加した農林水産省からは、本当の日本食を差別化できるような制度や枠組みなど、政策による後押しの検討にもつなげたいとコメントした。

▲デイブレイクの木下昌之社長

最後にデイブレイク社長の木下昌之氏は、「コールドチェーンの改善などで解決する問題はいっぱいあるが、本日、点と点が結び合うこと、つなぎ目をなくすことで、もっといいものができてくると実感した。引き続き食品流通に革命を起こしていきたい」と挨拶。今後同社では、さらに連携を基盤としたサプライチェーンの形を模索しながら、冷凍寿司市場の発展に取り組みたいとしている。

冷凍技術による食の感動が、物流の常識も変える

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