
記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「経営者8割超がエネルギー安定供給に危機感」(11月13日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)
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調査・データプロロジスはこのほど、グローバルサプライチェーンの最新動向に関する調査レポート「2026年版」を発表した。最大のトピックは、物流施設や工場の立地選定において、長年最重要視されてきた「人件費」が首位から陥落した点だ。代わって「エネルギーの安定調達」が最優先事項として浮上しており、AI(人工知能)への投資拡大が電力需要を急増させ、企業の立地戦略を根本から変えつつある実態が浮き彫りになった。
この調査は、プロロジスが米国の調査会社ザ・ハリスポールに委託し、世界6か国(米・英・独・印・中・メキシコ)の企業経営幹部1816人を対象に実施したもの。
レポートによると、サプライチェーンの拠点選定における意思決定要因として、「エネルギー調達の安定性とコスト」を挙げた回答が40%でトップとなった。これは、従来の定石であった「人件費と人材確保」(36%)や「関税回避」(37%)を上回る結果だ。背景には、90%の企業が「信頼性の高いエネルギーインフラには追加コストを支払っても構わない」と回答するなど、電力供給に対する強い危機感がある。
この地殻変動の「震源地」は、企業の間で加速するAI投資だ。26年に向けた最優先の資本投資先として、75%の企業が「AIの導入」と回答しており、「自動化・ロボット」(37%)を大きく引き離した。
しかし、AIの導入は膨大な電力消費を伴う。回答企業の76%が今後5年間で自社施設の電力需要が増加すると予測しており、その主因として71%が「AI」を挙げている。つまり、AI活用による競争力強化を急ぐあまり電力需要が爆発的に高まり、その結果、拠点の選定基準が「人が安い場所」から「電力が安定している場所」へと強制的にシフトしている構図だ。
レポートは、この「AI、エネルギー、拠点」の3要素が相互に連関する「戦略的トライアングル」が、今後の競争優位を決定づけると分析。経営層に対し、エネルギーインフラを単なるコスト要因ではなく、事業継続の中核能力(コア・コンピタンス)として再定義するよう提言している。(菊地靖)
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