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世界の燃料電池車市場、2035年に35倍規模

2025年11月13日 (木)

調査・データ米市場調査会社のKDマーケット・インサイツは13日、世界の燃料電池車(FCV)市場は2025年に22億ドル規模と見込まれ、35年末までに35倍の785億ドル規模にまで拡大するとの予測を公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は49.7%を見込んでいる。環境規制やエネルギーの多様化、技術革新に支えられ、世界的に力強い成長が期待されるとしている。

同社の市場調査レポート「燃料電池車市場の将来動向と機会分析 – 2025年から2035年」によると、FCVは水素を電気化学反応によって電力に変換し、副生成物として水蒸気しか排出しない。このため、バッテリー電気自動車(BEV)と並ぶ次世代モビリティの中核として位置づけられている。FCVには長い航続距離や、短い燃料補給時間、高いエネルギー効率といった利点があり、乗用車だけでなく、バスやトラック、列車といった大型車両にも適している。

各国がカーボンニュートラル達成への取り組みを強化するなか、水素自動車の需要は急速に拡大しており、政府や自動車メーカーは、水素燃料補給インフラの整備や、燃料電池スタック効率向上のための研究開発、水素製造コストの削減に向けて積極的に投資を行っている。特に日本、韓国、ヨーロッパの一部地域では、政府の優遇政策や補助金、民間企業の参入で、実証段階から商業化段階へと移行している。

地域別にみると、アジア太平洋地域が市場を主導しており、中でも日本は水素インフラや自動車研究開発への早期投資によって、世界のFCV普及をけん引している。日本は「グリーン成長戦略」において水素を中核と位置づけ、30年までに交通・産業分野での大規模水素利用を実現するとの目標を掲げている。政府による乗用FCVへの補助金、水素ステーション整備支援、自動車メーカーとエネルギー企業の連携などが市場拡大を加速させている。

FCVを主導している自動車メーカーはトヨタ自動車で、FCV技術の先駆者として商用化を進めている。韓国の現代自動車は燃料電池トラックを製造、ドイツのダイムラー・トラックAGも商用・貨物輸送向けの水素燃料電池技術を推進している。本田技研工業も水素インフラの構築に注力している。

自動車メーカー以外でも、米国の燃料電池システム開発、プラグ・パワーは産業用モビリティ・物流分野向け燃料電池システムの開発に取り組んでおり、パナソニックホールディングスも、燃料電池発電や自動車向け統合技術に参入した。

これらの企業は岩谷産業や、仏エア・リキード、英シェルなどのエネルギー企業と連携し、水素の供給・補給ネットワークの構築を進めている。

同社は「燃料電池車市場の将来は明るく、水素が代替燃料から主流のクリーンエネルギー源へと移行するなかで、その役割が一層重要となる。日本、韓国、EUが政府の戦略的施策と民間の強力な支援を受けて、引き続きリーダーシップを発揮するだろう」としている。

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