調査・データマーケットリサーチセンター(東京都港区)は13日、世界のラストマイル配送用自律型移動ロボット市場は2024年に18億8300万ドルに達したとみられ、31年には2倍の36億7900万ドルへと成長する見通しだとする市場調査レポート「ラストマイル配送用自律型移動ロボットの世界市場2025年」を公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は10.2%を見込んでいる。
ラストワンマイル配送用自律ロボットは、物流拠点や配送センターから消費者までの短距離区間を完全自動で荷物を届けるために設計されており、近年は都市部の交通渋滞緩和や人手不足対策の一環として注目されている。カメラやLIDAR(ライダー)、GPS、音波センサーなどを搭載し、障害物の回避やルートの確定を自律的に行うほか、AI(人工知能)による学習機能が組み込まれており、交通状況や歩行者の動きに応じた柔軟な行動ができる。また、ロボット管理システムと配送プラットフォームの統合で、遠隔操作やモニタリングによる大規模運用も可能になり、従来の人による配送手段に代わる新たな物流インフラとしての地位を確立しつつある。
市場拡大の主な要因は、EC(電子商取引)の急成長と労働力不足の深刻化で、配送員の人件費上昇が顕著となっている都市部では、コスト削減と効率向上を両立させる手段として注目されている。さらに消費者の即日配送・短時間配送へのニーズの高まりによって、ロボットを活用したマイクロロジスティクスの導入が進んでいる。新型コロナ感染症の拡大以降、対面での受け取りを避ける人が増えたことも、ロボット配送への期待につながっている。
インフラ整備や法規制の遅れ、歩道や公道での走行許可制度などが普及の障壁となっているが、多くの国や自治体が実証実験を進めており、今後は制度の整備も進むと考えられる。
用途別ではEC分野が最大シェアを占め、オンライン販売の拡大とともに配送ロボットの導入も進んでいる。食品分野では温度管理機能を備えたモデルが登場し、冷凍・冷蔵配送ニーズにも対応している。
地域別にみると、北米では技術革新と法制度の整備が進んでおり、市場成長をけん引している。特に米国では大学キャンパスや都市配送での導入が進み、実用段階に入った。欧州は環境負荷削減や都市交通の改善を目的に、電動・自律型配送ロボットへの支援政策が強化されている。このため、カーボンニュートラル都市構想と連動したロボット物流の普及がみられる。アジア太平洋地域では、中国、日本、韓国、インドを中心に導入が急速に進み、特にEC と連動した物流ロボットの開発が活発となっている。
同社は「AIやクラウド通信、5Gネットワークの発展によって、配送ロボットのリアルタイムな運行管理と障害回避の性能が飛躍的に向上する。電動化や省エネルギー化が進むことで、持続可能な物流インフラの中核を担う存在となると期待される」として、今後、市場は高度成長を続ける見通しだとしている。
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