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L4自動運転トラック、2030年に400-600台普及へ

2025年11月27日 (木)

ロジスティクス新東名高速道路で続くレベル4自動運転トラックの総合走行実証を巡り、関係8社は26日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で記者説明会を開いた。自動運転を活用した物流効率化とドライバー不足解消に向け、5年間にわたり進めてきた「Road to the L4」(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト)テーマ3事業の成果と現状を報告した。4つのテーマのうち、テーマ3は高速道路での高性能自動運転トラックの実用化を担う。

▲実証実験で走行したトラック(出所:高速道路自動運転トラックの取り組み記者説明会広報事務局)

説明会では、経済産業省・国土交通省が推進する同プロジェクトの一環として、参画各社が開発してきた高性能トラック技術、道路インフラ・運用環境の検証内容を紹介。現在、新東名で行われている総合走行実証についても、実際の走行映像を交えながら手順と成果を説明した。

テーマ3のリーダーはモビリティー関連システム開発のネクスティエレクトロニクス(東京都港区)の小川博氏が務めた。小川氏は、ドライバー不足や長距離離れの深刻化を背景に高速道路での自動運転導入が急務になっていると説明。高速道路は歩行者・交差点がなく一般道より自動運転に適する一方、80-90キロで走るため高精度の検知・反応が不可欠だとした。

▲ネクスティエレクトロニクスの小川博テーマリーダー

レベル4ではシステム責任での運行となり、予備システム・サイバーセキュリティー・EDR(イベントデータレコーダー)・遠隔監視などが必須となる。最終目標は中継エリアを起点とした「車内無人化」で、人がハブまで運転し、幹線区間を自動走行するモデルを描く。

大型トラック特有の長さ・重量・内輪差などから、車線の変更が難しく、「車線変更ができなければ停止し、再発進が困難」という課題が示された。そこで、3キロ以上前から障害物を知らせる先読み情報支援や、本線車両の挙動を把握する合流支援が不可欠とした。無人運行を想定すると、緊急退避・レスキュー体制、中継エリアでの乗降・積み替えなど事業面の要件も整理が必要だと述べた。2030年頃までに、大手物流企業を中心に、全国で400-600台の普及を目指す。

続いて実際の実証実験での走行の様子が映像で紹介された。新御殿場インターチェンジ-岡崎サービスエリア間の総合走行実証(昼夜420キロ)の様子が示され、自動運転車両に道路情報などの情報支援が行われる区間での自動車線変更、自動合流、自動発進・到着が確認された。遠隔監視画面では車両位置とカメラ映像、異常時の自動切り替えが動作していたという。

▲説明会で公開された実証走行の映像

小川氏は「技術と事業の両面で一定の見通しがついた」と述べ、今年度末に技術ガイドと導入手引きをまとめる考えを示した。

会の終わりには質疑応答が行われ、パイロット企業としてヤマト運輸が例示されたほか、ヒヤリハットはあったが事故は発生していないこと、レベル4の認可には技術的な問題よりも、サイバーセキュリティーの問題が重要であることなどが説明された。

今回の実証は12月11日まで続く予定で、成果を踏まえた社会実装の見通しや、追加検証項目について今後まとめていく。

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