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三菱造船と日本製鉄、LCO2タンク製造の新技術開発

2025年12月8日 (月)

荷主三菱重工業グループの三菱造船と日本製鉄は5日、液化二酸化炭素(LCO2)輸送船のタンク製造で、溶接後の熱処理(PWHT)を省略する技術を開発し、日本海事協会から一般設計承認(GDA)を取得したと発表した。これによってタンクの大型化、量産化、コストの低減などが可能になる。

▲低圧液化CO2タンクの搭載イメージ(出所:三菱造船)

脱炭素の流れのなか、日本では回収したCO2を大量輸送するため、液化したCO2を海上輸送できるタンクや大型専用船の開発に向けた取り組みが、業界を横断して進められている。両社は経済性と生産性を両立する大型LCO2タンクの鋼材開発や、PWHTの省略が可能な製造手法の確立に取り組んでいる。

大型LCO2のタンクの材料としては、経済性に優れ、高強度の炭素マンガン鋼が適しているとされるが、これまでは国際規則に基づき、タンクの形に溶接した後に再加熱するPWHTの工程が欠かせなかった。しかし、大型タンクを収容できる熱処理炉は限られているため、タンクの大型化や量産のネックとなっていた。

こうした課題に対し、日本製鉄は、優れた低温特性と高い強度に、経済性も備えた鋼材を開発した。三菱造船は、この鋼材を使い、ECAと呼ばれる溶接部の健全性評価を実施。その評価結果に基づき、PWHTを省いても、安全性や強度を確保できることを証明し、GDAを取得した。

両社は「今回のGDA取得は双方の技術協力が成し遂げた目覚ましい進歩であり、低圧LCO2タンクの安全性を確保しながら、経済性と生産性を両立することで、LCO2輸送のコスト削減に寄与する」としている。

今後、タンク製造にかかわる企業と連携し、大型の低圧LCO2タンクや新たに開発した鋼材の製品化を目指す。

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