認証・表彰三菱重工業グループの三菱造船(横浜市西区)と日本郵船は16日、共同で取り組んでいる二酸化炭素の大型運搬船「LCO2船」の開発に関し、日本海事協会(東京都千代田区)から設計基本承認(アプルーバル・イン・プリンシプル、AiP)を取得したと発表した。まだ開発の途上にあるが、温暖化防止に貢献し、将来的な需要増が期待される船であり、市場投入に向け大きく前進したと言えそうだ。
AiPは、認証機関が基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満たすと認めた場合に付与される。
両社によると、大型LCO2船の共同開発は2021年11月に合意し、スタートした。まだ開発時期のめどは立っていない。今回の審査は、その設計を液化ガスをばら積みで輸送する船舶に適用されるコードや規則に照らし、実現可能性や諸規則・基準への適合性も検討した結果、AiPが付与された。
この共同開発船では、低温かつ圧力の高い状態で液化されたCO2ガスを、カーゴタンクシステムに格納して輸送する。大量に輸送するにはカーゴタンクシステムや船体の大型化が必要で、重要な技術的課題となっている。両社は中型、大型の複数の船型について、異なるタンクの圧力を設定したカーゴタンクシステムと船体を検討しており、そうしたことも審査において承認された。
三菱重工グループも日本郵船も、それぞれ脱炭素化など地球環境への取り組みを経営の大きな柱に掲げており、LCO2船の開発は両者の戦略の交差点に位置している。早期実現を目指し、今回AiPを取得した船型をもとに、さらなる大型化の検討も進める考えだ。また、今回取得したAiPを通じてCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯蓄)バリューチェーン構築に必要な各種技術の開発にも引き続き努めるとしている。
■LCO2船イメージ動画