国際欧州委員会は16日、自動車産業の脱炭素移行を支援する包括政策「オートモーティブ・パッケージ」を公表した。2050年の気候中立と産業競争力の両立を掲げ、乗用車・バンのCO2排出基準見直しや大型商用車(HDV)規制の部分修正、企業車両の脱炭素化促進策を盛り込んだ。電動化への市場シグナルを維持しつつ、メーカーに一定の柔軟性を与える構成が特徴だ。
CO2基準では、35年以降に排気由来排出量90%削減を義務付け、残る10%はEU製低炭素鋼やeフューエル、バイオ燃料による補償を認める。これによりEV(電気自動車)や水素車に加え、PHEV(プラグインハイブリッド車)やレンジエクステンダー、内燃機関車も一定の役割を残す。30年目標に向けては、排出枠の前借り・繰り越しを認める柔軟措置を導入し、バンについては30年の削減率を50%から40%に緩和した。HDVについても、30年目標達成に向けた柔軟化を図る。
需要面では、企業フリートの脱炭素化を加盟国単位の義務目標として設定し、公共支援の対象を「低・ゼロエミッションかつEU製」に限定する。あわせて総額18億ユーロの「バッテリーブースター」で域内電池産業を強化し、規制簡素化を進める「オートモーティブ・オムニバス」により年7億ユーロの事務負担削減を見込む。電動バンについては、休憩時間規則の平等化など実運用面の支援も盛り込んだ。
これに対し欧州自動車工業会(ACEA)は、柔軟性と技術中立性を認めた点を評価する一方、実効性は詳細設計次第だと指摘する。特に30年に向けた追加的な柔軟措置がなければ、35年目標の効果は限定的になる可能性があるとした。また「EU域内製造」要件や排出補償制度が競争力や技術選択を狭める懸念にも言及した。物流に直結する小型商用車への配慮やHDV規制の前倒し見直しは前進としつつ、インフラ整備や需要喚起策の継続的な点検を求めている。
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