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PI実装を前へ、パレット1枚からの鉄道利用検証

2026年3月11日 (水)

ロジスティクスフィジカルインターネットセンター(JPIC)は11日、「PI(フィジカルインターネット)実現コンソーシアム第3回全体会議」を開催した。会議では、新たなワーキンググループ(WG)として「モーダルコンビネーションWG」の設立が審議されたほか、既存WGの進捗報告などが行われた。

今回の会議をもって、鉄道輸送とトラック輸送を組み合わせた新しい輸送モデルの検討を行うモーダルコンビネーションWGが正式に始動する。物流の持続可能性向上に向け、鉄道コンテナ輸送のリソースを再設計し、トラック輸送と組み合わせた新たな輸送モデルを構築することを目的としている。JR貨物とサステナブル・シェアード・トランスポート(SST、東京都中央区)がWGの幹事を務め、3月中にトライアルを始める。

同WGで検証するのは、パレット単位でのトラック&レールサービス「パレットJR便」の活用である。パレットJR便は、発側のトラック事業者が集荷した貨物を積替拠点に持ち込み、JR貨物のコンテナで幹線輸送を行い、到着後は地域のトラック事業者が配送を担うリレー型輸送で、回送コンテナの空きスペースを活用することで輸送効率の向上を図るもの。

取り組みの背景には、物流需要の多頻度小ロット化、JR貨物の列車積載率のばらつきがある。従来の鉄道輸送はコンテナ単位の大ロット輸送が前提であり、利用のハードルが高かった。サイズの小さい12フィートコンテナでもT11標準型パレット6枚分が最小ロットとなっていたが、これをパレット1枚から受け付ける形に変えることで、これまで鉄道を使えなかった中小ロット貨物のモーダルシフトも対象に取り込み、回送コンテナの余剰スペース有効活用につなげる。輸送効率の向上とともに、大幅なCO2排出量削減にも貢献する。

想定する主な利用者は、貸切便を運行するトラック事業者だ。発側の事業者は長距離運行から解放されて自社リソースの稼働効率が上がり、着側の事業者は短距離の配達業務を密度高く安定受注できる。JRのダイヤに基づく定時性により、着荷主側の待ち時間低減にもつながるとともに、トラック長距離輸送と比較してもコストを抑えられると見込む。

また同WGでは、もう1つの活動テーマとして「トラック鉄道ハイブリッド連携」輸送モデルも検討する。ことしも大雪で3週間近く北海道への鉄道輸送が途絶した経験を踏まえ、BCP(事業継続計画)の観点から平常時・有事を通じたトラックと鉄道の一体運用モデルを構築するものだ。トラックの追加手配や、平時から余分なコストをかけて船舶枠を確保するこれまでのBCP対策ではなく、鉄道便とトラック・船舶便をトータルで捉え、追加手配ではなくその枠内で優先順位を付けてやりくりする発想でレジリエンス強化を目指す。

会議ではこのほか、3件のWG進捗が報告された。

▲各WG進捗状況(クリックで拡大)

「地方共同混載配送WG」では、人口減少や輸送量の減少が進む地域において、企業間の共同配送による持続可能な物流の仕組みづくりに取り組んでいる。地方では単独企業による店舗向けラストマイル配送効率化に限界があることから、複数企業が共同で配送ネットワークを構築することで、物流の維持を図り、コンビニエンスストアなどが担う地方の生活インフラ機能を守る考えだ。今後、共同化の実証地域や対象となる輸送物などを決定、納品時間帯や温度管理など運用面のギャップを整理して、出版業界やタバコ業界への運用拡大を検討する。

このほか、企業のPI対応度を評価する指標の普及を進める「PI成熟レベル検討WG」では、成熟度評価モデル「PIMM」の完成発表を経て、運用の確立フェーズへと進む。現在はトライアル審査を通じて評価プロセスの妥当性や運用面の課題を確認し、評価シートの改善と四半期に1回の審査サイクル確立を目指すことが報告された。

「水平連携検討WG」では、業種や業態を越えた企業連携による共同物流の実現に向け、化学品、医薬品、家電の3業界WGで各業界ごとの特性に応じた検討が進められている。化学品業界ではパレット積み付けガイドラインの策定に着手。ドラム缶が11型パレットからはみ出す問題に対応し、1112型での検証を加えた。医薬品業界ではレンタルパレットへの全面移行を視野に入れたパレット標準化を検討するなど、物流効率化の具体的な取り組み検証の動向が共有されるとともに、業界・事業者ごとの活動への“温度差”なども指摘された。

なお、会議ではあわせて、2月26日のPIシンポジウム開催、PIアワード2026発表の報告も行われ、PIシンポジウムの申込数、参加者いずれも前年を10%前後上回る規模となったことで、PIへの関心の高まりを確認。実装への前進に伴い、今後は複数事業者で効率化を達成した際の利益配分の仕組みがまだ未整理であるとの問題提起があり、実装面だけでなくビジネスモデルの議論も今後の課題として共有された。

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