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米トラック協会、商用車技術革新へ6項目提言

2026年6月10日 (水)

国際米国トラック協会(ATA)は9日、クリス・スピア会長兼CEOが米上院商務委員会の陸上交通・貨物・パイプライン・安全小委員会で証言し、トラック輸送分野の技術革新を加速する政策対応を議会に求めたと発表した。米国の貨物輸送網で大きな役割を担うトラック業界が、安全性や効率性、環境性能、サプライチェーンの信頼性向上に向けて民間投資を進める一方、制度面の整備が導入速度を左右するとの認識を示した。

証言は「技術進歩が交通イノベーションをどう促すか」をテーマに開かれた公聴会で行われた。スピア氏は、トラック輸送が製造業と市場を結び、小売店の棚を維持し、全米の地域社会に生活必需品を届けていると説明。業界はすでに数十億ドル規模で新技術に投資しており、技術導入は輸送の安全性向上にとどまらず、消費者や企業が負担するコストの低減にもつながると強調した。

▲米国トラック協会会長兼CEOのクリス・スピア氏(出所:米国トラック協会)

同氏が掲げた政策提言は6項目。第1に、重量トラック、トレーラー、トラクターに課される12%の連邦物品税の廃止を挙げた。同税は100年以上前に導入された制度で、新車・新機材の価格に数万ドル規模の負担を上乗せし、車両更新や最新安全技術、省燃費技術の導入を遅らせているという。トッド・ヤング上院議員が提出した「Modern, Clean, and Safe Trucks Act」を支持し、老朽化した税制の見直しを促した。

第2に、車両安全基準について、米道路交通安全局(NHTSA)を主要な所管機関とする全国的な枠組みの維持を提起した。州ごと、または裁判所判断によって異なる装備基準が広がれば、メーカーや運送事業者、荷主を含むサプライチェーン全体に不確実性が生じる。全米をまたいで運行するトラック輸送では、車両基準も全国一律であることが不可欠だと訴えた。

第3に、自動運転商用車の導入に向けた連邦レベルの制度整備を掲げた。自動運転技術は安全性や生産性を高め、米国の競争力強化にも資する可能性があるが、導入には明確な全国戦略が欠かせない。州ごとの規制が乱立すれば技術導入が遅れるとして、「BUILD America 250 Act」による指針整備を支持した。

第4に、貨物窃盗やサプライチェーン詐欺への対策として、連邦機関のシステム更新や運用改善を要請した。犯罪組織は時代遅れのシステム、弱い本人確認、分断された報告体制を突き、貨物の窃盗や正規運送会社へのなりすましを行っているという。登録情報の信頼性向上、データ共有、詐欺検知ツールの高度化が急務だとして、「SAFER Transport Act」や「Combating Organized Retail Crime Act」を対策強化につながる法案に位置づけた。

第5に、政策当局に対し、広範な導入に適した技術と、なお検証が必要な技術を区別するよう促した。実運用で有効性が確認された安全技術の導入は進める一方、成熟していない技術を義務化すれば、かえって現場の負担や導入停滞につながりかねない。技術中立的な目標を示し、企業の創意工夫で解決策を生み出す性能基準型の制度設計が重要になる。

第6に、貨物輸送網が依存する測位、航法、時刻同期技術に影響を及ぼす周波数帯の再編案に慎重な対応を迫った。特にNextNavが求めるLower 900MHz帯の転用について、物流、交通、重要インフラで使われている既存機器やシステムに有害な干渉を与える恐れがあるとして、議会や規制当局に退けるよう求めている。

ATAは、次期陸上交通再授権法案の議論を控えるなか、これら6項目の政策対応が、トラック輸送の安全性、レジリエンス、経済性を高めるうえで重要になるとみている。スピア氏は、業界は技術革新を待っているのではなく、すでに将来の貨物輸送を形づくる技術へ投資していると強調。連邦政策がその導入を後押しできるかどうかが、米国のサプライチェーン競争力を左右すると訴えた。

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