行政・団体公正取引委員会は10日、2025年度の取適法の運用状況と、中小事業者などの取引適正化に向けた取り組みを公表した。25年度の勧告件数は39件、指導件数は8261件だった。勧告対象となった違反行為は、不当な経済上の利益の提供要請が31件で最も多く、製造委託等代金の減額と返品が各6件で続いた。
中小受託事業者が受けた不利益については、委託事業者177者から中小受託事業者5165者に対し、減額分の返還など総額25億5698万円相当の原状回復が行われた。委託事業者からの違反行為の自発的な申出は53件で、このうち自発的申出による原状回復額は12億1019万円だった。
物流分野では、荷主と物流事業者との取引適正化が引き続き重点課題となっている。公取委は、荷主による物流事業者への優越的地位の濫用を規制する観点から、「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」に基づく調査を継続している。24年度調査では、荷主3万者、物流事業者4万者を対象に調査を実施し、コスト上昇分について協議を経ない取引価格の据え置きなどが疑われる事案を確認するため、荷主100者に立入調査を行った。独占禁止法上の問題につながるおそれがあった荷主646者には注意喚起文書を送付した。
25年度も同様に、25年10月に荷主3万者、26年2月に物流事業者4万者を対象とした調査を実施しており、26年6月をめどに結果を取りまとめる。物流業界では燃料費や人件費の上昇、24年問題を背景に運賃・料金の見直しが続いており、荷主との価格協議や付帯作業の扱いが取引適正化の論点となっている。
制度面では、取適法の対象取引について、26年1月1日以降の発注分から手形払いが一律に禁止された。支払期日を超える満期を設定した一括決済方式や電子記録債権も、原則として支払遅延に該当する。公取委と中小企業庁は、取適法対象外の取引を含め、サプライチェーン全体で支払手段を適正化するよう事業者団体などに要請している。
また公取委は、取適法の周知に向け、全国47都道府県で事業者向け説明会を63回実施したほか、関係省庁と連携した業種別説明会を13回開いた。相談対応では、取適法に関する相談が3万4810件、優越的地位の濫用に関する相談が4043件で、計3万8853件に対応した。公取委は今後も、価格転嫁、支払条件、物流取引の商慣習を含めた取引環境の整備を進める。
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