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国交省、コンテナ戦略港湾委が最終取りまとめ

2014年1月20日 (月)

行政・団体国土交通省は20日、国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会の最終とりまとめを公表したと発表した。政策目標として概ね5年以内に京浜・阪神港に寄港する欧州基幹航路を週3便に増やすほか、10年程度で国際展開する日系企業のSCM(サプライチェーンマネジメント)に役立つ多方面・多頻度直航サービスの充実などを掲げた。

■地方港に釜山港トランシップ貨物へのインセンティブ廃止を要請
こうした政策目標を達成するための個別施策として「集貨」「創貨」「競争力強化」の3分野に分けて具体的な取り組みを設定。集貨に向けては韓国の釜山港湾公社が年間40億円以上の積替え・集貨支援事業を実施していることを例に挙げ、「立ち上がり時の支援にとどまらない強力な支援施策が必要」だとして、9項目にわたる施策を設定した。

具体的には、釜山港などへのフィーダー支援を行う国内地方港に対し、値王で荷主の利便性が確保できるような集貨施策を実施しつつ、国際フィーダー航路に対して外航航路と同等以上のインセンティブ措置を講じ、釜山港でトランシップされる貨物へのインセンティブ措置を廃止するよう、地方の港湾管理社に個別要請を行う。

また、コンテナターミナル着岸時の内航コンテナ船への不利な運用を改善するため、港湾計画に関連するガイドラインを改訂し、新たに「外内貿コンテナ埠頭計画」を導入。内航コンテナ船の競争力強化に向け、外内貿連続バースの一体的運営に向けた実証事業を実施するとともに、コンテナの陸上輸送時に必要な特殊車両通行許可基準と申請手続きの統一を検討。

鉄道を活用した輸出入コンテナの長距離輸送を促すため、背高コンテナの輸送需要と通行に支障のあるトンネルの解決方策、貨物鉄道の利便性向上策などを検討するほか、国際海上コンテナの積載が可能な新型貨物鉄道車両や高性能機関車の導入に対する支援を行う。

■戦略港湾背後地の物流施設向けの無利子貸付制度創設
創貨に向けては、民間事業者が行う国際コンテナ戦略港湾の背後地に立地する保管施設に対し、建設・改良への無利子貸付制度を創設。流通か好景気業の誘致を促進し、特区制度の活用による支援措置の強化も検討する。

■競争力強化へEU、ASEANとのIT連携検討
競争力の強化に向けては、港湾コストを引き下げるため、国が大水深コンテナターミナルを整備し、港湾運営会社に直接貸し付けるほか、港湾の利便性の向上に向けた取り組みを設定。

ゲート前の渋滞緩和を促すため、実入りと空コンテナの処理を分離・効率化に向け、ターミナル付近に空コンテナ蔵置場を確保できるよう、関係社調整を実施するほか、コンテナ搬出入情報の予約システムを構築。また、コンテナターミナルの再編やヤードの拡張により、コンテナ増置容量の拡大を図るとともに、ターミナルゲートオープン時間の拡大により、荷主企業へのサービス強化を行う。

このほか、システム運営の効率化、利用者の利便性の向上を図るため、NACCSとコンテナ物流情報提供機能(Colins)を統合した「総合的物流情報プラットフォーム」を構築。海外とのコンテナ物流情報の可視化に向けては、日中韓による北東アジア物流情報サービスネットワーク(NEAL-NET)の拡大を図るとともに、ユーザーへのサービス提供を開始。EU、ASEAN諸国などとの物流情報システムの相互連携も検討する。

コンテナ船の大型化、取扱貨物量の増大などへの対応としては、水深16mの耐震強化岸壁、奥行き500m以上の液状化防止対策ヤード、免震機能付ガントリークレーンなどを備える高規格コンテナターミナルの整備を進め、コンテナターミナル全体の効率的運営を実現。立体格納庫やAGVの導入、荷役機械(トランスファークレーン)の遠隔操作化などによるコンテナターミナルの抜本的な高度化に向けて取り組む。