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JR貨物、最終年度計画で安全再構築と物流転換加速

2026年3月31日 (火)

ロジスティクスJR貨物が3月31日発表した2026年度事業計画は、中期経営計画「中計2026」の最終年度として、安全体制の再構築と総合物流企業への転換を軸に据えた内容となっている。脱線事故や不適切事案を受けた信頼回復と、物流構造変化への対応という2つの課題に同時に向き合う構図だ。

今回の計画で最も重視されているのは安全の再構築だ。2024年の脱線事故、作業記録改ざん問題を受け、「安全の価値観」の再浸透を掲げ、報告徹底やルール順守、異常時の即時停止など基本行動の徹底を図る。加えて、偏積コンテナ対策としてトラックスケールや輪重測定装置の導入、危険品対応教育の強化など、荷主・利用運送事業者を含めた輸送全体での安全水準引き上げに踏み込む。

安定輸送の確保では、災害時の代替輸送体制を強化する。鉄道障害時にはトラックや船舶を組み合わせる「フェーズフリー」運用を常態化し、内航船の活用や代行拠点整備を進める。特に山陽線不通を想定した新南陽駅の拠点化など、広域BCPの具体化が進む。

成長戦略の中核は「鉄道×物流」の統合。2025年に設立したJR貨物ロジ・ソリューションズ(東京都中央区)を軸に、鉄道輸送に加えトラックや3PLを組み合わせた総合提案を強化する。貨物駅やレールゲートなどの物流結節点を活用し、保管・集配機能を含めた一体サービスの提供を進める方針だ。

輸送量拡大では、31フィートコンテナや定温輸送の強化、中距離帯(600キロ)の取り込みが柱となる。特にトラック依存が高かった中距離領域でのモーダルシフトを狙い、ダイヤ改正による速達化や増発を実施している。一方で片道輸送の偏りを解消するため、ラウンドマッチングなど需給調整機能の強化も進める。

制度面では、コスト増への対応として基本運賃の改定を打ち出した。燃料費や人件費の上昇、設備更新負担の増大を背景に、従来の価格体系の維持が困難と判断した形だ。同時に、駅構内サービスの見直しなど収益構造の改革にも踏み込む。

数値目標は、コンテナ取扱収入1259億円、積載率76.5%、輸送量183億トンキロを設定。鉄道事業の黒字化と不動産事業の収益拡大を両輪に、経常利益の確保を目指す。

また、カーボンニュートラル対応も重要テーマとなる。モーダルシフトによるCO2削減効果の可視化やJ-クレジット活用に加え、自社排出削減としてフォークリフトの低排出化やLED化、再エネ導入などを進める。

今回の計画は、安全問題への対応を起点に、単なる鉄道事業者から総合物流プラットフォーマーへの転換を明確に打ち出した。輸送力不足と脱炭素という社会課題を追い風としながらも、信頼回復と収益構造改革という内部課題の解決が並行して問われる局面にある。

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