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日本郵政、郵便・物流赤字縮小も再悪化見込み

2026年5月15日 (金)

財務・人事日本郵政が15日発表した2026年3月期連結決算は、経常収益が11兆4405億8600万円で前期比0.2%減、経常利益が1兆749億6600万円で同32.0%増、最終利益が3745億5600万円で1.1%増だった。金融2社の収益改善が全体を押し上げた一方、物流関連では郵便・物流事業の赤字縮小と、国際物流事業の小幅減収が並ぶ結果となった。

郵便・物流事業は、経常収益が2兆3083億5100万円で2189億6900万円増、経常損失は54億9400万円となり、前期の322億2000万円の赤字から改善した。日本郵便ベースの同事業では営業収益が2兆2975億8100万円で2167億円増、営業損失は118億6200万円となり、前期の383億7700万円の赤字から265億円改善した。

収益面では、ゆうパックとゆうパケットの取扱数量が増えた一方、郵便とゆうメールは減少した。全体の取扱数量は160億5300万通・個で前期比5.0%減となった。内訳では、郵便が117億5100万通で6.5%減、ゆうメールが31億7400万個で2.1%減、ゆうパックが5億6500万個で1.3%増、ゆうパケットが5億6300万個で4.7%増だった。郵便物の減少傾向は続くが、郵便料金改定や荷物分野の伸長、JPトナミグループの連結子会社化が増収要因となった。

費用面では、人件費や集配運送委託費の増加が重荷となった。郵便・物流事業の営業費用は2兆3094億円で前期比1901億円増え、人件費は1兆3493億円で577億円増、経費は9601億円で1324億円増だった。国内運送委託費だけで691億円増加しており、外部委託を含む配送網維持コストの上昇が収益改善を圧迫した。燃料費、作業委託費、施設使用料、減価償却費、車両修繕費なども増加している。

同社は、点呼業務不備事案に伴う行政処分を受け、一般貨物自動車運送事業で使用していた1トン以上の車両が使えなくなった後、ほかの運送会社への委託を基本に、郵便・荷物サービスの提供を継続した。さらに、軽四輪車についても一部郵便局で使用停止処分を受けている。こうした制約下で、確実な点呼実施を前提にユニバーサルサービスを維持しながら、外部委託や協業で輸送力を補った形だ。

成長要素としては、トナミホールディングス(HD)を25年4月に連結子会社化した。日本郵便はJPトナミグループを通じてトナミHD株式を取得し、同年6月に100%子会社化した。取得原価は925億4400万円。日本郵便の公共性、資本力、物流ネットワークと、トナミHDの特積み・ロジスティクス事業基盤を組み合わせ、国内物流の総合化を進める狙いだ。連結範囲の変更では、JPトナミグループ、トナミHDなど33社が新たに加わった。

日本郵便はこのほか、トナミ傘下企業との共同配達、ロジスティードホールディングスなどとの資本業務提携、セイノーグループとの共同運行便拡大にも取り組んだ。郵便物減少で従来型ネットワークの固定費負担が重くなる一方、荷物・3PL・特積み・ロジスティクスを含めた総合物流への転換を急ぐ必要があるためだ。ただし、今期の赤字縮小は料金改定と連結効果に支えられた面が大きく、輸送委託費や人件費の増加を吸収し切れる構造には至っていない。

国際物流事業は、日本郵便子会社のトール・ホールディングス(豪州)を中心とする事業で、経常収益が5058億500万円で70億4100万円減、経常利益は43億7100万円で3億2800万円減だった。日本郵便の国際物流事業ベースでは、営業収益が5051億1600万円で66億1200万円減、EBIT(利払い前・税引き前利益)は138億5000万円で4億8500万円増となった。

減収要因は、フォワーディング事業での海上運賃下落と取扱量減少だった。豪ドルベースでは、営業収益が50億6000万豪ドルで8300万豪ドル減少した。内訳では、ロジスティクス事業収入が1億8700万豪ドル増えた一方、フォワーディング事業収入が2億6900万豪ドル減少した。費用も減少し、人件費は5800万豪ドル減、経費は2900万豪ドル減となったため、EBITは1億3800万豪ドルと前期の1億3400万豪ドルを上回った。

国際物流では、豪州での収益性改善、アジア域内で成長が見込まれる国や業種への重点展開、コスト削減を継続した。JPロジスティクスなどグループ内企業とも連携し、ロジスティクス事業とフォワーディング事業の拡大を進めた。ただし、フォワーディングは市況変動の影響を受けやすく、海上運賃の下落局面では売上規模が縮みやすい。今回もロジスティクスの伸びで補ったものの、国際物流セグメント全体では増益幅は限定的だった。

27年3月期の見通しでは、郵便・物流事業の営業損失は1040億円、国際物流事業の営業損益は0円を見込む。郵便・物流では荷物収入が90億円増える一方、郵便収入が570億円減少し、人件費が210億円、集配運送費が220億円増える想定だ。国際物流は前期比で138億円の悪化を見込む。日本郵便連結では、営業損失790億円、経常損失830億円、最終損失790億円の予想となっている。

日本郵政グループ全体としては、27年3月期に経常収益11兆3600億円、経常利益1兆1700億円、最終利益3800億円を見込む。

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