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中小企業白書が済決定、「稼ぐ力」強化を提起

2026年4月24日 (金)

行政・団体中小企業庁は24日、2026年版中小企業白書・小規模企業白書を閣議決定した。賃上げや人手不足、インフレ環境への移行といった経営環境の転換期において、中小企業に対し「稼ぐ力」の強化と戦略的経営への転換を求めた。現状維持は最大のリスクであり、長期視点での事業・組織再構築が不可欠とする。

白書ではまず、賃上げの持続性に課題を指摘する。25年の春季労使交渉では30年ぶりの高水準となる賃上げが実現したが、中小企業は労働分配率が約8割と高水準にあり、追加的な賃上げ余力は限られる。最低賃金の上昇も進む中、賃上げ原資の確保が喫緊の課題とした。雇用の7割を担う中小企業の賃上げは、日本経済全体の成長に直結するため、付加価値創出力の底上げが前提となる。

同時に、人手不足は構造的な問題として一段と深刻化する見通しだ。生産年齢人口の減少に伴い、中小企業の雇用者数は2040年に2018年比で8割半ばまで減少する可能性がある。足元でも運輸業や建設業、情報通信業など幅広い業種で人手不足感が強まっており、物流分野でも輸送・機械運転従事者などの不足が顕著となっている。

こうした環境下で白書が強調するのが「労働生産性の向上」だ。中小企業では1人あたり労働時間が減少する一方、付加価値額は増加しており、時間当たり労働生産性は上昇傾向にある。ただし企業間・業種間でばらつきが大きく、大企業を上回る水準の企業も存在する一方、伸び悩む企業も多い。生産性の格差が収益力の差として顕在化している。

生産性向上の手段としては、価格転嫁の推進、成長投資による高付加価値化、事業承継やM&Aによる再編に加え、AI(人工知能)活用やデジタル化による省力化を挙げる。これらに取り組む企業は、付加価値額の増加や労働投入量の最適化を実現している傾向が確認された。とりわけAI活用に取り組む企業は、取り組んでいない企業に比べ付加価値の伸びが大きく、AX(AIトランスフォーメーション)が成長機会となり得ると指摘する。

一方、小規模事業者については「経営リテラシー」の底上げが重要課題とした。財務・会計、組織・人材、運営管理、経営戦略の4分野で知識と実践に差があり、原価管理の徹底や組織活性化に取り組む企業ほど、価格転嫁や人材確保で成果を上げている。また、単独での経営資源に限界があるなか、企業間連携による補完も有効な手段と位置付けた。

物流業界にとっても示唆は大きい。人手不足とコスト上昇が常態化するなか、単純な輸送量拡大ではなく、付加価値の創出と生産性向上を軸とした経営への転換が求められている。白書は、設備投資やDX(デジタルトランスフォーメーション)、AI活用を含む戦略的な経営判断の有無が、今後の競争力を左右する分岐点になるとの見方を示している。

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