調査・データA.T.カーニー(東京都港区)は6月30日、データセンター市場におけるサプライチェーンの課題を分析した論考「サプライチェーンはデータセンターブームの足かせになっていないか?」を公表した。AI(人工知能)需要の拡大を背景に、世界のデータセンター設備容量は現在の19ギガワットから2030年には40ギガワットへ倍以上に拡大する見通しである一方、発電機や変圧器など主要設備のリードタイム長期化が、データセンター関連プレイヤーの収益化のタイミングやPE投資先の価値創出に影響していると指摘した。
論考によると、世界のデータセンター建設市場は23年の2180億ドルから2030年には3590億ドルへ拡大する見込みである。AI向けインフラ投資の拡大に伴い、ハイパースケーラーや企業による大型案件が相次ぐなか、主要設備の供給制約への対応が課題となっている。
特に供給不足が深刻なのは発電機や変圧器で、発電機のリードタイムは新型コロナウイルス禍前の20週間未満から現在は40-85週間まで長期化し、変圧器も5週間から70週間超へ伸びた。この結果、プロジェクトの収益化が遅れるほか、高額な前払い負担や契約上のペナルティ、評判毀損といったリスクも生じているという。
論考では、こうした状況に対応するため、サプライヤーとの関係を従来の案件単位の調達から戦略的パートナーシップへ転換する必要性を提言した。複数案件を束ねたポートフォリオ単位で需要を示すことで、例えば14件のプロジェクトを集約すれば発電機400台超の調達規模となり、メーカー側が生産能力を確保するための追加シフトを割り当てるインセンティブを持ちやすくなるとしている。
また、顧客やサプライヤーとの長期的な需要計画の共有や、経営層同士による連携強化も重要と指摘した。AI需要の拡大を背景にデータセンター市場が成長するなか、論考では、サプライチェーン全体を見据えた調達体制やサプライヤーとの戦略的関係の構築が競争力強化につながると提言している。
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