サービス・商品ブライセン(東京都中央区)は28日、都内で「ブライセングループ 第41期第2回AI大会」を開催した。グループ社員によるAI(人工知能)活用事例の成果発表会として行われたもので、社内完結だった第1回から規模を拡大し、今回初めて顧客やパートナー企業などの社外関係者を招いての開催となった。当日は国内外の拠点から出された70作品の予選を勝ち抜いた選抜6チームが登壇し、自社技術をベースとした最新のAI活用アイデアや試作ソリューションをプレゼンテーションした。

開会に際し、同社の藤木優社長は「顧客を招いての開催は今回が初となるため手探りな部分もあるが、我々がAIに向けて走っていく姿勢を感じていただき、共同開発やビジネスのきっかけにしてほしい」と挨拶。韓国やベトナム、ミャンマーなどの海外拠点のメンバーも会場に駆けつけ、グローバルでのAI開発への意気込みを示した。

▲ブライセンの藤木優社長
来賓として登壇した東京大学松尾研究所の飯野翔太氏は、「AI技術は日々進歩しており、業務効率化だけでなく、人の力だけではできなかったことが実現できる時代になった。産学連携や企業間・人とのコラボレーションを通じて、新たな産業の発展に期待したい」とエールを送った。
発表パートでは、多様な領域におけるAI技術の活用事例が披露された。その中で物流分野においては、ドライバー不足やトラック待機時間問題といった現場の切実な課題解決に向け、以下のような具体的な技術提案が相次いで披露された。
■次世代倉庫管理システム「Miele(ミエール)」(発表:ブライセンコリアのチーム)
既存のWMS(倉庫管理システム)データに3D表示とAI技術を融合させたソリューション提案。図面データ(画像・PDF)からAIが3D空間を自動構築するほか、賞味期限に応じた「3Dヒートマップ表示」、ダイクストラ法などを活用した「ピッキング最短経路の最適化」、自然言語で在庫位置を検索できる「AIチャットボット」などを発表。韓国拠点でのPoC(概念実証)を経て、グループ内での実用化やサービス化を目指す構想を示した。
■出荷オペレーション・ヤード管制最適化システム「PACERA(パセラ)」(発表:ブライセンコリアのチーム)
物流センターにおける車両待機時間の削減と少人化を目指すAIシステム。GPSから獲得した到着予定時刻(ETA)や配送先を基にドックの割当計画を自動作成。既存のCCTVカメラ映像をAI解析し、ナンバー認識や車両追跡、進行方向判定(2クラスインスタンスセグメンテーション)を行うことで、案内から接車・退場記録までを自動化した。車両1台あたりの管理者対応時間を18分から6分へ削減するシミュレーションを示し、WMS/TMS(輸送管理システム)と連携したパッケージ製品化構想を発表した。

▲投票で2位を獲得したブライセンコリアのチーム
同大会では物流以外のジャンルを含む計6チームの発表が行われ、来場者による投票と審査を経て表彰が行われた。審査の結果、見事優勝には非エンジニアでもAIアシスタントの構築や業務引き継ぎを簡便に行える汎用型ソリューション「分身」を発表した日本のチーム(発表:飯田氏)が輝いた。また、物流分野からは出荷オペレーション・ヤード管制最適化システム「PACERA」を発表した韓国のブライセンコリアが第2位に選出され、高い評価を受けた。発表会終了後には懇親会が開催され、参加者や来賓、同社メンバーが活発な意見交換を行い、相互の交流を深めた。

▲優勝を果たし、藤木社長から表彰される日本チーム
同社常務取締役の吉川玲氏は本紙の取材に対し、本大会の狙いと今後の展開について「AIを使うこと自体が目的ではなく、お客様の課題を解決し、新しい価値を創造するための手段であると考えている。今回の発表内容を今後のソリューション開発や現場実装につなげていくベースとし、PoCの実施や既存のWMS・基幹システム等との連携を加速させながら、お客様とともに新しい可能性へ向けて挑戦を続けていきたい」と明かした。
グループの総力を結集した今回のAI大会は、単なる社内イベントにとどまらず、現場の課題感に直結した実用的なAI技術を社内外へ示す絶好の機会となった。同社は今後もグローバルな開発体制を強みに、AIソリューションの実装とサービス化を進め、物流現場をはじめとする多様な産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速させていく構えだ。
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