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TPP交渉大筋合意、国内物流企業への影響は

2015年10月6日 (火)

国際米国アトランタで開催された環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加12か国による閣僚会合は5日(現地時間)、TPP協定の大筋合意に至った。交渉参加国の経済規模は3100兆円で、世界全体の4割を占める巨大な経済圏が生まれることとなった。

今後、数か月のうちに最終的な協定をまとめ、交渉国は批准に向けた国内手続きを進めることとなるが、国内物流企業に対してはどのような影響が考えられるのか。

TPPは二国間の貿易協定(FTA)と異なり、すべての締約国を一つの領域とみなす広域FTAで、締約国の領域内を移動する場合は貨物の「原産性」が維持されることから、第三国を経由して輸送する場合に輸入国の税関に対して原産性を立証する必要がないほか、物品市場アクセスによって関税の撤廃・引き下げが進み、輸出入の増加が見込まれる。

これらに加え、貿易手続きのシングル・ウィンドウ化や投資規制の緩和などにより、物流には概ね好影響を及ぼすとみられるが、一方で域内他国の巨大な物流企業と国内外で激しい競争が生まれることとなる。

例えば税関手続きの分野では、締約国間の協力促進、国際基準への調和、通関手続きの迅速化、行政・司法上の審査の確保といった規定が盛り込まれ、貿易の円滑化に向けた措置が進む。具体的には、到着から48時間以内、急送貨物に対しては書類提出後6時間以内の引き取りが許可されることとなる。

製造業や小売業など物流企業にとって荷主となる企業は、TPPの発効によってより経済性の高いサプライチェーンを構築する必要に迫られることとなり、大手物流企業は、こうした荷主企業からグローバルレベルで物流を一括受託できる体制が求められる。

とはいえ、最終的に関税ゼロを目指すTPPの枠組みでも、ただちに関税・非関税障壁が取り払われるわけではない。貿易手続きの簡素化や物流インフラへの投資のハードルが下がるといったTPPのメリットを活用し、グローバルに通用する自社の強みをより尖らせて競争力を効果的にアピールできれば、国際的なサプライチェーンに参入するまたとない好機となるだろう。

■TPP参加交渉国のGDP(緑の帯、世界銀行データベースをもとにLogisticsToday編集部が作成)

TPP交渉大筋合意、国内物流企業への影響は