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ヤフージャパンの物流に関する懸念

2010年7月28日 (水)

話題ヤフージャパンの事業規模は、直近の四半期(4-6月期)業績で705億円に達しているが、規模拡大に伴いリスクも増大している。同社が事業リスクとして認識しているもののうち、物流に関するリスクをピックアップしてみた。

 

まず、「顧客からの問い合わせ」について。これまではサービス利用に関するものが中心だったが、代金支払に関するもの、サービスや商品の返品・交換に関するもの、ヤフーから第三者に委託している物流・決済などに関するもの――と、質的・量的に拡大する可能性を懸念している。同社ではこうした問い合わせに対応できるよう、スタッフの増強、組織管理体制の強化充実、業務の標準化・システム化の推進による効率化を進めているが、施策充実に伴う費用も増大しており、収益に影響を与える可能性、施策にもかかわらず顧客の満足が十分に得られない可能性も否定できない。

 

他社との共同出資による合弁事業についても、設立・運営案件が増加している。これらの合弁事業では販売・仕入・物流・システム面で業務運営を合弁パートナーである第三者に大きく依存している特徴がある。現時点では合弁パートナーとの関係は良好だが、将来的にパートナーとの間で協業・提携関係に支障をきたす可能性は存在しており、事業継続性を強化する点で、こうした面での取り組み強化が求められる。

 

ヤフーが提供するサービスは、そのビジネスモデルから第三者に依存しているケースが多く、商品配送関連サービスやコンビニエンスストアを通じたサービスなどでは、第三者がヤフーと顧客の接点を担っている。このため、第三者によるサービスの不手際により、同社のブランドイメージが低下する可能性はある。例えば、「Yahoo!オークション」の匿名配送サービスは、配送業務の委託先が適切に匿名処理を行うことで実現しているが、匿名処理が適切に行われなかった場合、出品者や落札者の匿名性が失われる可能性は否定できない。この場合、ヤフーに対して損害賠償を求められたり、ブランドイメージが低下することにより、業績への影響もありえる。

 

これらのリスクは多くの荷主企業にも当てはまるが、Eコマースの代表的な企業であるヤフージャパンが認識している事業リスクを、同じ目線で認識・改善することが、ロジスティクス・プロバイダーの商機につながるといえそうだ。