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スキーム改良し宮崎産サーモンを海外輸出

ヤマト・宮崎交通、客貨混載バスに国際宅急便

2017年9月15日 (金)

▲西米良サーモン引渡しの様子(写真左2)濵砂慎吾井戸内養魚場専務取締役(右2)大原奈々NANA FARM代表

話題ヤマト運輸と宮崎交通は15日、保冷専用ボックス搭載の路線バスを活用した「客貨混載」で国際クール宅急便を輸送し、農水産品を海外へ輸出する取り組みを開始した。第一弾として、西米良村特産の西米良サーモンを香港の日本食レストランへ配達し、生産者などの販路拡大を支援する。

両社は2015年10月から宮崎県西都市と西米良村を結ぶ路線バスで客貨混載を開始し、16年6月には延岡市-高千穂町、日向市-諸塚村に取り組みを拡大。17年1月からは西都市-西米良村に保冷専用ボックスを搭載した路線バスを導入し、クール宅急便で西米良村特産の西米良サーモンなどを輸送することで、生産者の国内販路拡大を支援している。

西米良サーモンは、井戸内養魚場が90年から養殖を始め、程よく甘みののった脂と国内産の新鮮なサーモンとして高い評価を得ており、近年は海外への販路拡大に取り組んでいるが、鮮度維持や販路開拓が課題となっていた。

そこで、宮崎交通とヤマト運輸は西都市-西米良村を結ぶ路線バスによる客貨混載と国際クール宅急便の輸送スキームを組み合わせ、高品質な農水産品を鮮度を保ったまま海外へスピーディーに配達する取り組みをスタート。

第一弾として、商社として香港で宮崎県の農水産品を輸入するNANAFARM(ナナファーム)を通じ、西米良サーモンを香港の日本食レストラン「元気一杯」へ翌々日に届ける。

具体的には、ヤマト運輸のセールスドライバーが井戸内養魚場から西米良サーモンを集荷し、西米良村のバス停留所「村所」で路線バスに積み込む。宮崎交通のドライバーは西都バスセンターでヤマトのセールスドライバーに引き渡し、ドライバーは県内の同社物流ターミナル(宮崎ベース)へ発送する。

ベースからはヤマト運輸が宮崎空港と羽田空港を経由し、那覇空港へ輸送。同空港で輸出通関手続きを行った後、香港空港へ空輸し、到着後は香港ヤマト運輸が香港ベースで荷物を仕分け、現地セールスドライバーが配達する。

今後はほかの国・地域へ販路を広げていくとともに「さらにスピーディーに配達できる輸送スキーム」の構築を目指す。

人と貨物を同じ車両で一緒に運んだり、旅客の輸送に付随して貨物を運ぶことを一般的に貨客混載と表現するケースが多いが、ヤマト運輸では、旅客が貨物に優先されるという意味を込めて「客貨混載」と表記している。