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ANAの難題に応える、ウィードの共創手袋

2026年10月7日 (水)

サービス・商品幕張メッセ(千葉市美浜区)で7日開幕した展示会「TOOL JAPAN」。作業用手袋の開発・販売を手がけるウィード(同)のブースでは、手袋の歴史と未来を語るプレゼンテーションが来場者の目を引いていた。

▲会期中13時、15時に開催されているブース内講演。ANAとの共同開発や、手袋を「消耗品からギアへ」と変革するビジョンが語られた

これまで本誌でも、物流現場における「手元の労災リスク」や、手袋の支給不足が物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の足かせとなっている課題を報じてきた。しかし今回、同社への独占取材で見えてきたのは、現場の複雑な課題に泥臭く向き合い、顧客と共に最適な解を創出する同社ならではの強固な開発・マーケティング戦略だった。

「手袋の歴史は軍手から始まったが、時代が変わっても現場の不満は消えない。100点満点の手袋に出会えていないからだ」

ステージでそう語るのは、セーフティセールスグループマネージャーの勝田孝行氏だ。同社はその不満を解消するため、全日本空輸(ANA)のグランドハンドリングチームとの共同開発を遂行した。

▲ウィード セーフティセールスグループマネージャーの勝田孝行氏

過酷な現場で荷物の積み下ろしを行うANAからは、指先の挟まれ防止やグリップ力、端末操作性、さらには女性スタッフ向けの手首保護や着脱用ベルトに至るまで、多岐にわたる機能が求められた。既存の標準品では対応しきれない要求に対し、ウィードは実際に現場へ足を運び、作業員の動作を観察・分析することから始めた。

▲ANAとウィードが9月1日に発表した共同開発のグランドハンドリング専用グローブ「ZIZAI ZI-572」。講演中、装着感を体感できるよう来場者へ実物が回覧された

同社取締役プロダクトマーケティングディレクターの佐々木淳氏は、独自の開発体制について「自社の製造都合や標準品の販売を優先するのではなく、我々は後発だからこそ『顧客をチームに巻き込んで一緒に100点を作る』アプローチをとる」と語る。

▲同社取締役プロダクトマーケティングディレクターの佐々木淳氏

この泥臭い現場主義を組織として機能させているのが、部署を超えた密接な連携だ。勝田氏ら営業が現場へ足繁く通って吸い上げた課題に対し、マーケティンググループリーダーの高橋洋平氏がその解決ストーリーやノウハウを動画やメルマガ、チラシなどで解像度高く言語化・可視化。顧客側でも曖昧だった課題を明確に伝えることで、「自社の現場の課題も解決できるのではないか」という期待感を波及させている。

▲同社マーケティンググループリーダーの高橋洋平氏

さらに高橋氏は、この知見を最重点市場へとつなげる。「物流現場で最も発生割合が高い労災事故は『指の挟まれ』。ANAで培ったソリューションは、まさに今、安全管理に悩む物流企業に直結する」(高橋氏)。同社は現在、複数企業とのモニター検証を進めるほか、設立が予定される防災庁の動きを見据えた災害対策領域への横展開など、手を守るあらゆる領域へソリューションを拡充中だ。

荷物の保管・搬送から端末操作まで、物流のあらゆる工程で最後に価値を生み出すのは「現場の手」である。単に消耗品としての手袋を購入する時代は終わった。現場固有の難題に寄り添い、安全強化と生産性向上(=脱がないDX)を同時に果たすウィードの「共創手袋」は、人手不足時代を生き抜く物流企業にとって、強力な経営改善のキーパーツとなりそうだ。(林花代子)

◆ この記事をより深く理解するために ◆

・軽視される手元の労災、作業用手袋が現場を変える(2026年5月26日)──現場の死角となっていた手袋の重要性と「脱がないDX」を提起した記事。

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