調査・データ慶応義塾大学は7日、同大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の西山敏樹特任准教授らのグループが、全国的に増加している農業協同組合(JA)の直売所に青果物を持ち込む農家の人手不足や高齢化などの問題を踏まえ、運搬を代行するシステムを構築した、と発表した。研究グループは10日から16日まで、このシステムの実証実験をJAさがみ・グリーンセンター綾瀬で実施する。
実験では運搬を代行するだけでなく、電動車両と大型保冷剤の導入による騒音やCO2の削減、青果物の保冷とそのモニタリングを常時実施し、SNSを利用した青果物の販売と鮮度情報の提供なども行う。また、農家や利用者などに評価調査を実施し、今後、農業と住民をより有効的に結び付けるため、実験システムの課題発見と改善点の整理を行う。
研究グループは2012年度から、JAさがみをフィールドとして農業の現場の問題点を議論してきた結果、大きな問題点として「全国で爆発的に増加しているJAの青果物直売所へ、毎朝野菜を運搬し、また、売れ残った野菜を夕刻に回収する農家の人手不足や高齢化があげられ、今後、この状況がさらに深刻化する」可能性があることを発見。
農家が本来の農業に集中するため、「青果物運搬を代行する地域社会システムの構築が不可欠」だとして、矢崎総業グループの「的」、インテリジェントセンサーテクノロジー、川崎運送、JAさがみ、GSユアサ、トッパン・フォームズを加えた産学研究グループを組織し、それぞれの強みを活かすことで、社会的に付加価値の高いシステムのベースを構築した。
システムは運搬の代行以外に、(1)電動車両と大型保冷剤の導入による騒音やCO2の削減(2)青果物の保冷とそのモニタリングを常時実施(3)SNSを利用したこの青果物の販売と鮮度情報の提供(4)実証実験で用いた保冷野菜と既存の運搬方法で運んだ野菜の味・効能の比較――といった特徴があるとしている。
実験では、日々青果物の運搬を行う農家やJAの来店者、JAなどにヒヤリング調査などの評価調査を実施し、実験システムの課題発見と改善点の整理を行う。今後、夏・秋・冬にもグリーンセンター綾瀬で実施する。
川崎運送は電動バンで運送実務や車両管理を担う。