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国分、全物流システムをクラウドに移行、BCP強化

2010年6月24日 (木)

話題国分は、今後数年かけて全物流システムをデスクトップ・クラウド環境方式へ移行し、最終的には全国185か所全ての物流拠点に展開していく。24日、日本IBMのデスクトップ・クラウド・サービス「IBMスマート・ビジネス・デスクトップ・クラウド」と衛星回線を活用し、事業継続を強化したことを発表した。

 

国分は2007年から事業継続計画を策定・実施しており、停止すると取引先や顧客に大きな影響がある全システムについて、1994年から機器やネットワークの二重化などの障害対策を実施、自家発電装置や免震構造が導入されている首都圏のデータセンターを利用するなど、対策を施している。

 

今回の取り組みは、地震などの広域災害による通信回線の障害も想定し、機能が集中している首都圏の災害時に、北海道から沖縄までの全国185拠点で取引先や顧客に対して商品を安定供給し続けることを目的に、災害時には衛星回線を利用して首都圏のデータセンターにアクセスする仕組みの検討を08年から開始していた。

 

災害時の衛星回線利用検討では、複数ある物流システムのうち、いくつかがクライアントサーバー型のため、高速地上回線を使用した通常時では遅滞なく業務を処理できるが、災害時の衛星回線帯域は通常時の20分の1程度になることから、レスポンス悪化による業務処理遅延が発生してしまうことが課題となっていた。

 

国分は、この課題を解決するため、日本IBMの協力でサーバー上でクライアント端末を仮想的に構築するデスクトップ・クラウド環境の活用を決めたもの。これにより、回線を介したサーバーとクライアント端末間の通信が不要になり、衛星回線経由でのアプリケーション処理速度が約60倍速くなったという。

 

また、回線を介したサーバーとクライアント端末間の通信が不要なデスクトップ・クラウド環境を構築したことで、通常時でもアプリケーションのパフォーマンスが約10倍向上。頻繁に発生するアプリケーションの更新についても、サーバー上の仮想クライアント端末で行うため、全てのクライアント端末で常に同期が取れているようになった。

 

国分では、09年6月からデスクトップ・クラウド環境の構築を開始し、10年1月にサーバー上の仮想クライアント環境が稼働。同年2月から首都圏の16拠点でクライアント側の展開を進めており、6月中に完了する。また、7月から9月にかけて首都圏以外の拠点へも展開し、全国約60拠点の1000台を対象としたデスクトップ・クラウド環境が10月から稼働する。