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年末繁忙期の集配に懸念、総選挙業務重なり「相当重い重荷」

日本郵政・西室社長、郵便の収益改善に厳しい見通し示す

2014年12月3日 (水)

ロジスティクス日本郵政の西室泰三社長は、年末の輸送・集配繁忙期対応について「3月の繁忙期は乗り切ったが、少し前から他社が荷受け制限し、それが流れてきて急に増えた。そういうことが起きないよう期待をしているが、予測の範囲外のことが起こるかもしれない」と述べ、日本郵便の集配業務に懸念を示した。11月26日の社長会見で言及した。

今回の繁忙期について、「選挙用の通知は私どもが任務としてやらなくてはいけないもので、間違いや遅れがあってはならないが、それに集中するというのがちょうど、年末の繁忙期に重なった」と、総選挙に関連する通知の集配業務が懸念要因になっていることを明かした。

日本郵便の9月中間決算は、人手不足に伴うコストアップを主な要因として営業赤字365億円を計上した。西室社長は「日本郵便の決算は改善傾向にあったが、残念ながら今回の中間決算ではマイナスを計上した。全体ではそれなりの利益を達成しているが、日本郵便のところで大きくへこんでいるのは非常に残念」と日本郵便の財務状況に言及。

特に人手不足への対応について「正直なところ、人件費に対して日本郵便として手配してきた状況が追いついていないと言わざるを得ない。法律で決まった義務だから郵便局のネットワークは保持し、その中で効率性を求めていかなければならないが、加速していかざるを得ない」と述べ、人件費の最適化と郵便局ネットワークを保持していく難しさが大きくなり、改善に向かっていないとの認識を示した。

日本郵便がこうした「人」の構造的な課題を抱えながら、物流業界全体でも人手不足が深刻化し、日本の人口構造の変化を背景に今後も人手不足が続くとの見通しがある中、どのように改善していくのかとの問いに対しては「中途採用も行っているが、これから先を考えると、地域別に具体的にどのような採用の仕方をしていけばいいのかを個別に検討しながら対策を打っていく以外にない」と述べ、赤字改善に向けた短期的な対策を打ち出すことはできなかった。

西室氏は「年度末の決算は、人手不足の部分でまた赤字が出ることを避けたいと思っているが、選挙が重なったこともあり、人件費を中心にした経費増をカバーするという意味では、黒字計上は非常に難しい」と、人手不足によるコストアップに選挙向け業務が重なることで赤字要因が解消しないとの見通しを示した。

特に、年末繁忙期に選挙が重なったことについては「選挙によって(収入が)50億円増えるのは事実だが、現場にしてみるといくら考えても『相当重い重荷を負ってしまった』というのが現実の問題」と述べた。