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コクヨ、インドの大手文具メーカー買収へ

2011年5月31日 (火)

M&Aコクヨは30日、連結子会社のコクヨS&Tがインドの大手文具・画材メーカー、カムリン社の株式過半数以上を取得すると発表した。コクヨとカムリン社は昨年来、ノート販売で業務提携を開始しており、今回の株式取得について「相互に企業文化なども理解した上での友好的な買収」としている。

 

今後、新生カムリン社はコクヨS&Tとカムリン社による共同事業という位置付けで、急成長するインド・ステーショナリー市場で、双方の強みを最大限生かし、事業を拡大していくことに合意した。

 

新生カムリン社で、同社の創業家は引き続き13.34%(潜在株式考慮後)相当の株式を保有し、創業家の取締役2人は引き続きコクヨS&Tと共同で事業に当たる。

 

コクヨグループでは、ベトナムでは独自に生産・販売一貫体制を構築し、今年度からノートの本格販売の展開を開始しているが、今後も持続的な成長が予測されるインド・中国でもステーショナリー市場への参入機会を探っていた。

 

今回買収するカムリン社は、創業80年の歴史を持ち、鉛筆・インク・ペン・算数セット・パステルカラーなどシェアトップクラスの高品質商材を豊富に保有、インドで極めて高いブランド認知率と強い全国販売流通網を築いている。しかし、地元大資本の市場参入や欧米有力メーカーの参画など、競争環境が厳しくなるインド市場で、オフィスステーショナリー領域での商品開発力やデザイン力など同社の強化すべき領域も顕在化してきている。

 

コクヨグループとカムリン社は、同社のブランド力・流通力を活かしながら、同社グループが得意とするノートなど紙製品・ファイル・文具製品、多くの高付加価値商品を生み出してきた開発力・デザイン力・製造技術・流通インフラシステムなどのノウハウを投入することでカムリン社を補完し、インド市場で事業を拡大していくことで双方の狙いが一致した。

 

今後、コクヨは販売面でカムリン社の既存製品、新生カムリン社で共同開発する製品を同社グループが持つアジア各地のチャネルを通じて販売すること、生産・調達面で、原価低減や生産ポートフォリオ向上など競争力強化することも視野に入れており、インド市場だけでなく、日本・ベトナム・中国といったアジア域内での総合的な収益の拡大を図る。

 

カムリン社は、インド国内で約30万店の販売店と取引を行っており、うち約15万店は直接アカウントするなど、80年かけて築いてきたインド全土への流通チャネルを保有している。今後はノートやファイルをはじめとする同社グループ商品に加え、インドに販路を持たない欧米、日本、中国などのステーショナリーメーカーの「流通ハブ」機能として、カムリン社のチャネルを積極的に活用し、販売拡大を行うことも検討している。

 

また、流通網の拡大とともに全土に根付いてきたカムリン・ブランドは、インド国民に高い認知率を持っており、コクヨ・ブランドの露出も一部に組み込みながら、今後も同ブランド力を積極的に活用していく。

 

さらに、これまでコクヨS&Tが培ってきた、ノートなどの紙製品や高付加価値商品の開発ノウハウ・デザイン性と、カムリン社がトップシェアを誇る絵の具やインク、マーカーなどの高い製造技術(国内4工場)など、両社の強みを持ち寄ることで、インド市場のニーズに合い、同国市場で先進的な新商品・新デザイン商材をスピーディーに展開していく。

 

日本ではカウネット、中国ではEasyBuyとして展開しているオフィス通販事業、オフィス家具事業も今後、新生カムリン社が持つ教育機関や企業などのBtoBチャネルの特性や購買力、インフラ整備の状況を踏まえ、随時、事業機会を検討していく。

 

株式の取得予定価額は36億5863万4200ルピー(67億6800万円)で、取得後のコクヨの合計所有割合は50.3%となる。取得資金は、手元資金を充当する。6月初旬から8月下旬にかけて公開買付けを実施し、9月に創業家から取得する。